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乳癌(がん))ミニ知識
日本人女性の乳がん罹患率(りかんりつ)は 今や18人に1人と年々増加傾向にあります。
一方、脂肪摂取率が高く肥満の者の多いアメリカでは8人に1人との統計もあります。
引用:国立がんセンター資料
女性がかかりやすいがん第1位。乳がんは30代から急増し、40〜50歳代の女性に特に多くみられます。
その後ゆるやかに減少しつつも80代まで高い確率で推移していきます。
乳がんにはいくつかの段階があり、次のように分類されております。
Tis 乳管内にとどまるがん。非浸潤がん(ごく早期)
O期 しこりや画像診断での異常な影を認めないもの
I期 2cm以下のしこりで、リンパ節への転移がないと思われるもの
II期 2cmを超える5cm以下のしこりがある、もしくはリンパ節への転移が疑われるもの
IIIa期 しこりが5cmを超えるもの
IIIb期 しこりが皮膚などに及んでいるもの
IV期 しこりの大きさを問わず他の臓器に転移が見られるもの
40歳以上は2年に1回の乳がん検診を受けてください。
Mammography
Photo source: National Cancer Institute, USA
マンモグラフィー検査は一般医の触診では見つけることの難しい乳がんや、熟練した
専門医の触診でも分かりにくい早期がんを発見できます。しかし若年の人ほど、
また、授乳歴が少ないほど、診断できないことがあります。
Normal (left) versus cancerous (right) mammography image
左の乳腺が正常
超音波検査は、比較的、見落としが少ない一方、擬陽性の出る場合があります。
一つの方法で100% 診断出来るとは限りません。もし異常が認められたら、違った
方法で乳がんとの診断を確定していきます。
お乳のしこりや、血液を含んだ分泌物があったら、なるべく早く専門の乳腺外科に
受診してください。
意外な研究結果:
米国の癌専門誌や多くの海外の医学雑誌に掲載された研究によると、乳がんリスクには、
(1)電気毛布の使用 (2)客室乗務員 (3)抗生物質使用 (4)夜間勤務 などが危険因子が
あげられています。その背景には電磁波、高度を飛行している時の大気中の放射能,
不規則な生活パターンによる免疫機構不全などが考えられます。
右側のイラストはNHKの「病の起源」から引用したものですが、夜間勤務の看護師では
昼間勤務の看護師に比べ、2.9倍もの高率で乳がんが発生するとの統計です。その誘因として
メラトニンの分泌パターンが関与していると考えられています。メラトニンは脳から
分泌されており、昼と夜との睡眠リズムを調整している。日中の活動時に、その濃度は低く、
夜眠っているときに高くなる。メラトニンはがんの増殖を抑制する重要な物質です。
メラ卜二ンは夜の光によって急速に分泌が抑制されるため、夜の間のみ働いていると乳がんに
なりやすいとも言えるのです。
定説では乳がんと脂肪摂取量との間には相関関係があり、お乳の豊かな女性は乳がんにかかる
比率が高いとされているので、定期健診を欠かさないようにすることが大切です。
禁煙環境で働くことも大切で、家庭や職場が禁煙の環境にある女性は、乳がんの発症や
死亡リスクが低いことが知られている。ニューヨーク州、ロズウェルパーク癌研究所によれば、
閉経前の若年女性では、禁煙の環境で仕事や生活をする女性の比率の高い州ほど、乳がんの
比率が低いとの研究成果を発表しています。
情報提供:日本産科婦人科学会認定専門医 医学博士 宮本順伯
by Dr.Junhaku Miyamoto
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