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子宮頸部癌予防ワクチン

子宮頸癌(がん)の予防にワクチンが有効であるとの見解が世界的に定着し始めております。
その理由は頸部の癌発生にはヒトパピローマウィルス、HPV,Human papillomavirus が
大きく関与していることが分かりました。そのうち発癌性の高いタイプは16型、18型で、
全子宮頸癌の60%〜70%が、この二つのタイプのウィルスに起因しております。HPVは
主に性行為によって感染しますが、初回性交後の短期間に感染するリスクが高いため、
予防ワクチンは全く性行為がない段階で接種することが望ましいのです。日本では初回
性交渉は15歳以上のことが多いので11歳〜14歳の女子を最優先の接種対象としております。

安全性に関しては国の内外に於ける臨床試験により比較的高い評価を得ておりますが、
時には注射後の失神や、手足の麻痺、変形、歩行障害、全世界では死亡例が130人、
報告されています。60%以上の癌(がん)予防効果がある(100%ではないことに留意)
とされているため、地方自治体でも公費で接種を行うところがあります。無償投与の
対象からは外されているものの、15歳以上でも性交渉のない若年女性では14歳以下の
女子と同様、60%以上の癌予防効果が期待できると言われています。また、性交渉が
あっても、そのときに必ずしもHPV感染を起こすものではないので、20代、30代の
女性でも接種を受ければ、ある程度の予防効果があると考えられます。ただ、リスクを
考えた時に、予防注射を行うべきか十分、検討してみる必要があります。

一方、HPVの6型と11型は尖圭コンジローマ、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍の発生に
関与しているとされていますが、16型、18型をも含めた広域(4価)ワクチン投与によって、
これらの子宮頸癌以外の腫瘍発生も予防できることも知られています。なお、ワクチンには
HPV感染への予防効果はありますが、すでに感染されている人への治療効果はありません。

ワクチンは3回行う必要があります。2回目は2ヶ月後、3回目は6ヶ月後に接種します。
すでに述べているように、このワクチンは60%から70%程度の癌発生に対する予防効果
しか無いので、ワクチン接種後20歳になったら定期的に子宮癌の検診を受ける必要が
あります。現在、当院では予防ワクチン接種を実施しておりません。十分に検討された上、
小児科等の医療機関でお受けください。


日本医師会制作ポスター


2013年6月
日本産科婦人科学会認定専門医 医学博士 宮本順伯



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