「居酒屋の禁煙対策事情」

 
   

受動喫煙の防止を盛り込んだ「健康増進法」の施行により、飲食店でも禁煙・分煙への意識が高まっている。
いつまでも「居酒屋だけは別」「酒とタバコは付き物」ではすまされないかもしれない。




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料理もお酒もおいしい店なのに、隣の席からタバコの煙がもうもうと漂ってくる、しかもひっきりなしにーーー
ーーー。非喫煙者にとって、居酒屋利用時にしばしば非常に不快な思いをするのは、居酒屋で喫煙に対して
野放し状態であることが多いからだ。
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店側にとっては、ヘビースモカーも大切なお客であるかもしれない。しかし、小さな店で、喫煙所の中で飲食させ
ているような状態の店に行くと、自分の店の料理やお酒に誇りがないのかな、と疑問に思ってしまう。さらには
カウンター席に座ったお客がタバコの煙をたっぷり吹きかけた大皿料理や刺身を、別のお客に平気で提供して
いる光景となると、さすがに見るに堪えないものがある。

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喫煙者にとっては、今年7月からのタバコ増税も加わり、ますます肩身が狭い思をする状況が進んでいる。しかし、
タバコは主流煙を吸っている本人はもとより、周りに漂う副流煙を吸わされる家族や知人、他人にもきわめて
有害なのだから、いっそのこと禁煙をおすすめしたい。そのタバコも、いったん酒と結びつくと、なぜか寛容に
扱われてしまう。飲食店の中でも、居酒屋やバーといったアルコール比率の高い業態は、禁煙・分煙対策に
ついて、他の業種と比べて消極的であり、遅れているといえるだろう。
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昨年12月に「タバコ副流煙の恐怖・都内レストラン・カフェ禁煙席ガイド」を出版し「2004東京都都心レストラン
カフェ禁煙席ガイド・タバコ副流煙U」を出版予定の宮本順伯医学博士は「飲食店の中でも居酒屋は行政が動かない
と難しいでしょう。日本では酒とタバコは付き物との先入観が強いですからね」と語る。

宮本博士は98年の冬に同窓会でヘビースモーカーの横に座り、受動喫煙をじっとがまんしていたところ、その
帰り道に強烈な心臓の痛みに襲われるという経験をした。このタバコの煙による心臓(雑誌記者は狭心症と
書いている)発作をきっかけにタバコ副流煙の恐ろしさを再認識し、日常生活の中でタバコを避けて自衛する
ようになった。また、3年前からインターネット上で「禁煙席ネット」を主宰し、タバコ副流煙の有害性を訴えている。

先述の著書には、都心で営業している1400店ほどの飲食店を、週末に自ら回って調査した禁煙席の設置
情報が盛り込まれている。また、タバコだけでも有害なのに、酒類はタバコに含まれる有害物質を溶けやすくし、
人体に吸収しやすくする作用があり、食道がんや肝臓がんにかかる比率を高めると警告を発している。医学的
な見地からすれば、本来は「居酒屋やバーにこそ、例外なく禁煙規制をかけるべき」という。アメリカ、イタリア、
ノルウェー、オーストラリアなどと比べても、日本のタバコ副流煙防止の法規制はかなり遅れている。

「健康増進法」には罰則規定がないので、受動喫煙の防止についても実効性は低いでしょう。もっとも、法規制
に頼らずとも、国民の意識改革によって変えていけると一番いいのですが」と宮本博士 は述べる。

先日、あるデパート内の有名ラーメン店に行った時、こんなやりとりが聞こえてきた。その店は全面禁煙として
いる。俗に言うヤンキー風の若い男性が、「すいません、灰皿 ください!」と声を上げた。店のスタッフは「店内は
禁煙なんです」と対応。するとその男性客は、「そうだよな、当たり前だよな」と率直に納得していた。「飲食店で
禁煙は当たり前」という意識は、徐々に広がりつつあるのかもしれない。





執筆 医学博士 宮本順伯
 著作権は宮本順伯および柴田書店に帰属

「居酒屋」第14号2003年11月号212〜213頁の記事を抜粋掲載 





The Second Annual Meting for Tobacco-Free Advocacy Japan
第2回 日本タバコフリー学会総会 東京


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