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オリンピックは屋内全面喫煙規制でおもてなし


オリンピック開催都市にはレストラン、居酒屋を含む飲食産業での全面禁煙、鉄道施設での
全面禁煙が必須と考えられている。1988年、国際オリンピック委員会はオリンピック大会
での完全禁煙を求めており、その基本理念は明確である。それ故、公共的屋内施設の全面
禁煙規制計画のない日本では、1300億円以上と伝えられる多額のオリンピック招致関連費用は、
水泡と化すことは必至とも見られていた。しかし、・・・

2020年夏のオリンピック開催国投票で、最有力候補とされていたマドリッドが経済的不安から
であろう、第一回選考でイスタンブールに僅差で敗れ、「まさかと思わせる番狂わせ」が
発生した。その結果として東京が最有力候補として浮上、開催権を獲得した。水面下での
強力な招致工作、「おもてなし」を前面に出した、フランス人を父親に持つ、滝川クリステル
さんのプレゼンテーションなども、大きく功を奏したと思われる。予想外の福島の汚染水問題に
会場の関心が集中し、安倍首相の断定的な「It's under control」という、根拠に乏しい回答で
救われ、日本の最大の弱点である喫煙規制問題が話題に上がることもなく、その陰に埋もれて
しまったことが勝因の背景にある。  

しかし、いまの飲食店内での自由喫煙、不完全分煙の多い東京で予測されることは、飲食店など
が全面禁煙となっている国からのオリンピック参加者からの失望と大きな非難である。レストラン
屋内全面禁煙は1994年にカリフォルニアに始まり、2007年以降、当たり前のこととして世界
主要国で定着して来ている。

飲食店に限らず東京のホテルにおける喫煙客室の多さには驚かされる。全客室に対する喫煙客室
の比率は、最高七〇%を超えている。ギャンブルで有名な元ポルトガル植民地、マカオに次いで
高い。地方の旅館などでは、一部施設が禁煙となっているものの、厳格な喫煙規制もなく、
ロビーや通路で喫煙しており、全客室に灰皿を常備しているところが多い。

鉄路に喫煙車両が堂々と走っている国は日本と中国のみである。日本では、全ての寝台夜行
列車に喫煙車両が連結されている。「北斗星」、「トワイライト・エクスプレス」の喫煙車両
比率は共に71%、禁煙車両より喫煙車両の方が20%以上も多い。JR東海、JR西日本は、
新幹線車両に喫煙車両を連結、車両に喫煙室を設けている。一方、車両間のデッキで喫煙を許して
いた中国は、2014年1月より全ての高速列車を全車両禁煙とすると発表した。また、数年前まで
設置されていたオーストラリア長距離列車やフィンランド夜行列車の喫煙ブースは、今や完全に
廃止されている。

日本の空港には必ず喫煙室が整備されている。しかも航空機に乗る直前まで喫煙できる。成田
国際空港には四三の喫煙室が整備され、羽田国際空港には六九もの喫煙室がある。これは世界
最多である。 先進国空港の喫煙室は全廃されつつあり、カナダ、英国、アイルランド、フランス、
ニュージランド、オーストラリアなどではターミナル建物内では一切喫煙できない。北京国際
空港も2011年5月、36あった喫煙室を全廃し、中国初の完全無煙空港となった。しかし、違反者
が多く、7ヵ月後に9か所の喫煙室を復活した。米国では29の国際空港のうち、ソルトレーク
空港など5つの空港で喫煙室を設けている。しかし、タバコによる三次喫煙防止のため、
セキュリティチェック地点以降には喫煙室を設置していない。

空港には喫煙室を常備すべきと錯覚している日本人が多いが、日本人団体を多く扱う日本旅行業
協会は全面禁煙となっている台湾の台北空港当局に対し喫煙室を設置するように申し入れた。
他国への内政干渉で無礼な行為だが、台北空港では屋内法に抵触しないように屋外と屋内との
中間に新たに喫煙室を設けた。表示は「屋外喫煙室」としている。

2008年11月に厚生労働省健康局タバコ対策専門官は「世界保健機関の全面禁煙勧告に実施
義務はない」と述べ、現状では分煙を進めるしかない、全部を禁煙とするのではなく、たばこ
会社も主張する分煙制度を是認すると表明した。 日本では喫煙行為を保護する目的で、分煙制度
を採用し、「分煙」さえ行えばタバコの有害煙を防止できると考えている政治家が多い。
その動きは、2011年4月に施行された神奈川県受動喫煙防止条例をきっかけに、厚生労働省も
分煙制度の普及に乗り出している。当初、喫煙設備への助成金は25%であったが、2013年4月に
50%にまで引き上げられた。世界の政府機関が屋内喫煙空間の 廃止、解消に懸命に努力して
いることを、あたかもあざ笑うかのようである。こうした日本政府や神奈川県の措置は、日本が
批准したタバコ規制枠組み条約に違反する政策であり、国際公約違反でもある。

分煙制度下では喫煙者を一般市民から隔離するので、タバコの煙を気にしないで食事等を楽しむ
ことが出来ると考える人も多い。しかし喫煙設備からのタバコ副流煙は完全に防止出来ない。
もし、そこに働く人がいるときは、仕事をしている間、タバコの先から放散される有害ガスを
毎日吸いこまねばならない。喫煙可となっている飲食店、喫煙車両内で働く車掌、車内販売員は、
発がん性の高いタバコ有害煙の中で勤務せねばならない。受動喫煙防止条例の最大の目的は、
こうしたことの起らないよう、従業員が肺がんを含め、深刻な病気にならないように、国や州が
規制を進めて来ているのである。  

「分煙制度」を国や県が奨励している国は日本のみである。スペインは分煙制度を組み入れた
受動喫煙防止法を公式に誤りと認め、2011年1月、全面禁煙規制へ転換した。喫煙率の高い
ロシアは既に職場、鉄道での喫煙を禁止、2014年6月にはレストラン・カフェの全面禁煙
規制を行う。飲食店に喫煙室を認めていたオランダは、2014年7月にレストランを含むサービス
産業での全面禁煙を実施する。


世界から乖離した日本は方針の大転換を行い、例外なき屋内全面禁煙を制定すべきで、それが
オリンピック参加者を迎えるための必須条件である。  



本文は第2回、日本タバコフリー学会 総会特別講演より抜粋、加筆したものである。
新宿区医師会「会誌」、2013年11月号に掲載された。
著作権は新宿区医師会および宮本順伯に所属する。





日本と海外のホテル禁煙設定についての最新現地情報
受動喫煙問題を勉強するすべての人に 受動喫煙防止法作成検討者 必読のハンドブック

日本の受動喫煙対策は世界最低レベル
    厚生労働省白書  2016
日本でも本格化して来た全室禁煙ホテル(日本全国 ) 2017
日本の対策『前世紀並み』「分煙は効果なし」 WHO
    朝日新聞掲載
屋内全面禁煙規制あってのオリンピック開催資格


2017年9月、日本タバコフリー学会で使用されたスライド(宮本順伯)

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オリンピックは屋内全面喫煙規制でおもてなし
「禁煙席ネット」主宰  日本タバコフリー学会顧問 医学博士 宮本順伯
「禁煙席ネット」へのリンクは自由
The article was written in October 2013 and revised in September 2016,
by Junhaku Miyamoto, M.D., PhD.
Information was added in April 2017.


Japan's  anti-smoking law
Newspaper:Herald Tribune International
Japan must move faster on anti-smoking law.
英文


Special Note:
 Two South Kuril and two islands off Hokkaido are the own land of Japan.

 
全室禁煙ホテル(日本全国)
 世界の鉄道車内は完全禁煙
 レストラン、カフェ、鉄道の全面禁煙はオリンピック開催の前提条件
 受動喫煙防止でWHOが各国政府に屋内全面禁煙の法制化を勧告


筆者の主張サイト

 毎日新聞闘論 「サマータイム」・経団連の導入根拠に反論   猫でも分かる「だまし」のサマータイム
 朝日新聞論壇 「サマータイムは迷惑千万」  テレビ小窓の人物表示をやめよ   朝日新聞論壇 「男女産み分け親の権利か」
 朝日新聞私の視点 「受動喫煙防止法を制定せよ」   南千島、北方4島は日本固有の領土  生活基盤と自然とを調和させた未来を
 喝!日本の政治社会批判   警告 :節税賃貸住宅が乱立


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