ミヤモトクリニックフォアウーメン・ピルの効用 ピルの効用と副作用

ミヤモトクリニックフォアウーメン・ピル服用
ピルには避妊効果の他、副効用があります。よく知られているものに、
月経痛の軽減作用があります。また、月経の時の出血量を少なくするので、過多月経に
よる鉄欠乏性貧血を改善します。癌(がん)の発生率も、卵巣癌で50%、
子宮体部癌では40%も減少させることが分かっております。こうした卵巣癌や
子宮体部癌の予防効果は、ピルの服用を中止した後も数年間続くと考えられて
います。その他、骨盤内感染症の罹患率を低下させる効能もあり、高年者では
骨密度を上昇させる(骨を強くする)ことが証明されています。

ピルを服用し始めた数日間に、軽い吐き気、わずかの人には頭痛が認められる
ことがありますが、 なれてくると自然になくなります。一時的に体重の増える
場合がありますが、1年間くらいの期間で観察すると、 プラス、マイナス0
であることがほとんどです。低用量ピルの服用を始めた頃には、時々、
微量の不正出血が見られる ことがありますが、もし、出血が少量であれば、
そのまま服用を続けます。しかし、出血量が増えれば一旦中止して下さい。
服用を再開する時期は中止した時期によっては異なりますので、電話にて、
服用開始後何日目に中止したのかを 告げてご相談下さい。このような微量
不正出血の頻度は、ピルを何ヶ月か服用し続けると減少し、やがて、
なくなって行きます。 薬剤の服用中に起こる出血を点状出血とも言いますが、
これは低用量ビルが中用量ピルの薬量より比較的少ないために発生するもの
です。も し少量の出血が10日間以上持続する場合は、治療または予防法
として、服用する性ホルモン剤を一定期間添加、増量して対処します。

ピルを飲み忘れると妊娠の可能性が出てきますので、気がついたら出来るだけ
早く服用し、更にその日の分の錠剤も服用しますつまり、この日は2錠飲むこと
になります。 2日続けて飲み忘れた場合は服用を中止し、月経の出血を待って
次のシートの薬を飲み始めます。毎日、決まった時間に飲むことを指示する
医師が多いのですが、 3時間くらいのい変動は全く問題ないので、あまり
神経質にならない方がよいでしょう。

ピルの心臓、血管系に対する副作用に静脈血栓症などがありますが、欧米の
白人に比し日本人では比較的少ない病気で、 その発現頻度は無視できるほど
です。しかし、心臓疾患を患っている方、脳血管障害のある人、血栓症を起こし
やすい人は、ピルを服用してはいけません (禁忌)。ピルを服用しながら喫煙
していると血栓を起こしやすくなります。長時間のフライトで発生しやすい
疾患としてエコノ ミークラス症候群が知られておりますが、ピル使用の喫煙者
において、致命的な肺梗塞を引き起こすことがあり、その罹患率は喫煙習慣の
ない 乗客よりも遙かに高いことが判明しています。エコノミークラス症候群は
航空機内での歩行や多量の水分を摂取することにより防止できます。 しかし、
喫煙行為は、ピルやフライトに関係なく、心臓の冠状動脈の硬化を引き起こし
やすく、血流障害から心筋梗塞を引き起こすことがあります。 脳血栓もタバコ
常用者で増加することが知られています。35歳以上の喫煙者はピルを服用
出来ません(禁忌)。 35歳以下の方でも、タバコとピルとの併用は、タバコの
有害性を強める可能性が高く、ピルを服用される場合には、服用開始後、
短期間のうちに禁煙することが望まれます。

エストロゲンとプロゲストロンの配合比率を変化させた3相性のピルは、自然の
ホルモンの状態に似せて成分を決めており、その点は評価でき ますが、一旦
服用を始めたあとの月経日変更の自由が制限される欠点があります。


注意上記診療情報記録は2018年1月現在のものです
日本産科婦人科学会認定専門医 医学博士 宮本順伯


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