ホルモン療法は月経不順の治療に有効ですが、にきびの治療にも使用される
のをご存じですか?月経前ににきびがひどくなる方もいらっしゃると思いますが
それはホルモンの分泌が関与している証拠でもあるのです。
にきびの原因は、主に男性ホルモン(テストステロン)の皮脂腺での機能亢進の
結果生じます。奇異に思われる方もおいででしょうが、女性でも卵巣や副腎から
微量の男性ホルモンが分泌されています。大部分のケースは男性ホルモンの
量的過多ではなく、皮脂腺の感受性の閾値が低下することにより二次的に
にきびをつくりやすくしていると考えられます。
にきびを治すには食事に対する注意、皮膚のケアーを欠かすことはできませんが、
にきび治療に使用される抗生物質の長期間使用により、感染症に効かない耐性菌
の出現や、カンヂダなどのかびが発生することがあります。
二次感染を伴った化膿性のにきびの場合に限り、抗生物質の併用は必要とも
思われますが、当クリニックではビタミン剤と女性ホルモン剤、人によっては女性
ホルモン剤のみを使用してにきびを治療し、非常によい効果をあげています。
低用量ピルを使用してにきびを改善させる方法もありますが、効果が一定して
いませんので、この薬剤は避妊が必要な場合のみに限られます。
月経予定日の1週間くらい前においでになれば、血液中のホルモン等の
検査をしてから治療に入ります。治療には最低3〜4ヶ月必要ですが、きれいな肌に
なるまでには1年間以上女性ホルモン剤の服用が必要でしょう。にきび痕(あと)は
完全には治りません。
女性ホルモンを使用したにきび治療はホルモンの専門家の手で初めて
実現できるのです。ただ、ホルモン療法で軽快しないケースも、ごく少数例ながら
あります。しかし、今までの治療法に満足できなかった方は、この薬物療法を
試用されてみるのも良いと思います。
タバコはエストロゲンの分泌低下をもたらし、女性の肌に対しても
マイナスに作用します。当院でにきびの治療を希望される方には、喫煙をやめるよう
にお話ししておりますし、禁煙することが治療開始の前提条件です。タバコに
含まれるニコチンは、皮膚に栄養を供給する毛細血管を収縮させるので、肌の
乾燥が進行し、皮膚に細かい皺(しわ)が出来易くなります。中年の喫煙者の
顔に皺(しわ)が多く、皮膚の老化が早まるのもタバコが主要な原因です。
にきびの治療に欠かせない注意は「顔をよく洗い、毛穴の呼吸を助けること」、
「水分補給」と「保湿」とにあります。当院では、他に特別の注意を与えていません。
また抗生物質、軟膏や特別のサプルメントは一切使っていません。
注意上記診療情報記録は2018年1月現在のものです
日本産科婦人科学会認定専門医 医学博士 宮本順伯
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