パピローマ・ウイルスの感染と喫煙との相乗発癌性 




Cigarette Smoking Increase Cervical Cancer Risk in Women Infected with HPV

Infection with certain types of human papillomavirus (HPV) is an established risk factor for cervical
cancer. This risk can be increased by as much as 27 times if the women also smoked cigarettes.
Smoking behavior and HPV have long been associated with cervical cancer, but there is not enough
evidence to determine how either may cause the disease.

Source: Cancer Epidemiology, Biomarker & Prevention, November 2006.




20〜30歳代の女性の子宮頸癌(がん)が増加していると言われているが、子宮頸部癌は
パピローマウイルス(HPV)が大きな原因となっていることがわかり、日本でもやっとHPV
ワクチンの接種が開始されることになった。意外に知られていない事実は、喫煙でも子宮頸癌
のリスクは2倍以上高くなり、それにHPV感染が重なると非常に高率で癌に罹患することで
ある。閉経前女性の乳癌が喫煙者で約4倍、受動喫煙でも約2倍以上高くなるとの報告もある。

スウェーデンKarolinska Institutetの研究は、喫煙とパピローマ・ウイルスの感染は相乗的に
子宮頸がんの発症リスクを高めることを明らかにした。 研究グループは、10万5760人の
スウェーデン女性の子宮頸部および膣の細胞検査(pap smear)のデータを用いて解析を行った。
研究対象グループには、499人の子宮頸癌女性が存在したため、その対象群(control group)
としてがんのない499人を選xんだ。そして、これらの女性を対象に、喫煙歴と、細胞の検査に
おけるパピローマ・ウイルスHPV-16の感染濃度について調査を行っている。
 
研究結果:研究グループは、HPV-16感染濃度が高く、かつ喫煙者の場合、子宮頸癌を発症
するリスクが非常に高くなることを明らかにした。

要約
1)喫煙者でかつHPV-16の感染濃度が高い場合、喫煙者でかつウイルス非感染群に比べて、

子宮頸癌を発症するリスクは27倍
となる。
2)喫煙者でかつHPV-16感染濃度が低い場合、喫煙者でかつHPV-16非感染群に比べて、
子宮頸癌の発症リスクは14倍となる。

3)非喫煙者でかつHPV-16の感染濃度が高い場合、非喫煙者でHPV非感染群に比べて、
子宮頸癌の発症リスクは6倍となる。

4)研究グループは、喫煙期間と感染期間が長くなればなるほど、癌の発症リスクが高まること
も明らかにした。その理由としては、HPV感染と喫煙は、それぞれ、異常な細胞の成長を制御
している免疫システムを低下させるためであると推察している。


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日本タバコフリー学会顧問 医学博士 宮本順伯
本文および写真の著作権は宮本順伯に帰属




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