Suica



JR東日本がICカード「Suica(スイカ)」を軸にした非運輸事業の育成を急いでいる。2019年3月期の連結純利益は
前期比で微増の2890億円と4期連続で過去最高益の更新を見込む。一方、域内の人口減少などで20年以降は鉄道など
主力の運輸事業の需要が減る見通しである。「今までの経営戦略だと立ちゆかなくなる」との危機感は強い。
19年3月期は非運輸事業を指す「生活サービス IT・Suica」分野に過去最高となる1650億円を投じるという。
スイカの累計発行枚数は18年9月末時点で約7258万枚と、交通系のICカードではトップである。競争が激化している
キャッシュレス決済の分野でも存在感を確保している。

一方、運輸事業については、20年開催の東京五輪・パラリンピック後に輸送量の減少を見込んでいる。駅施設の耐震
補強工事やホームドアの整備など安全対策に1兆2000億円を投じる予定と公表している。18年9月末時点で3兆1723億円
の有利子負債は「向こう5年は膨らみ続ける」という。JR東日本は東海道新幹線を「ドル箱」としているJR東海と比べて
も稼ぐ力は劣る。JR東海の18年4〜12月の売上高営業利益率は42%だったのに対し、JR東日本は20%だった。JR東海は
運輸収入の約9割を東海道新幹線で稼ぐが、JR東日本の新幹線による運輸収入は全体の約3割にとどまる。将来を見据え、
スイカを軸とする非運輸事業を今後の成長のけん引役と位置づけている。日経新聞は、23年3月期の連結営業利益は、
運輸事業が19年3月期見通し比で2%減の3300億円を見込むのに対し、非運輸事業は30%増の1900億円程度を予想する。
現在のスイカの主な収入源は、駅内外での決済の際に発生する手数料という。



スイカの利用可能地域は現在、首都圏、仙台圏、新潟圏の3つの大都市エリアにとどまる。電子マネーに対応した自動
改札機の導入コストの高額さから、東北地方では駅の改札でスイカが使えない地域が多い。期待されているのが、
訪日外国人客のスイカの利用需要の取り込みだ。JR東日本はは発行時のデポジットが不要な「ウェルカムスイカ」の
販売を始め、訪日客の旅行ルートの情報や駅外での決済情報を担う。

引用:2019年3月12日 日本経済新聞

Suica
執筆 医学博士 宮本順伯



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