日本道路起点、日本橋の上の醜い高速道路撤去を決定
Decision to remove Expressway above Nihonbashi-Bridge



2015年(平成27年)発行の書籍「一匹狼の国」76頁にても指摘されていた醜い日本橋上空に架かる首都高速道路問題が
決着した。当初は5000億円とも言われていた事業費を、既存路線のトンネルを活用することで3200億円に圧縮する。
都心環状線の江戸橋ジャンクション付近から地中化し、日本橋の下を通過して既存の八重洲トンネルに接続する。ただ、
既存路線の活用に伴い新たな問題も生じている。現行の道路構造令を満たしていないKK線などを通るルートに切り替える
ためである。現状は耐荷重が足りず、直角に近いカーブもある。大型車が通れるようにするには、その区間を改良したり、
代替ルートを新たに建設したりする必要がある。呉服橋、江戸橋の出入口は廃止する。都心環状線の日本橋方面と汐留
ジャンクション方面の接続を廃止し、向島線に直通させる。KK線改良を含めない建設費のうち、首都高が2400億円を
負担する。

新たに建設する地下ルートの延長は1.2km。事業費の内訳は、トンネル掘削などの本体工事に1030億円、用地の取得費や
建物移設の補償費などに1110億円、日本橋川に架かる橋の架け替えといった関連工事に590億円、都心環状線の高架橋
撤去に470億円と見込んでいる。

日本橋付近の地下には、東京メトロの銀座線、半蔵門線、東西線と都営浅草線の4路線に加え、様々なライフラインの
管路など既存インフラが網の目のように埋設されている。首都高を地下に通すには各インフラの防護や移設が必要となる。
同省道路経済調査室の沓掛室長は「針の穴を通すようなルートになる」と説明した。 2020年に着工する予定である。
引用:日経コンストラクション、日経新聞、産経新聞

歴史:



江戸時代に東海道の起点として誕生した日本橋(東京都中央区)が、明治44年に現在の石造りの橋となってから2021年
3月で110年を迎えた。江戸、東京のシンボル的な存在だったが、1963年(昭和38年)に橋を覆うように首都高速道路が
建設され、日本橋の「空」は失われた。地元住民は粘り強く高架道路の撤去を求め、2018年(平成30年)に地下化が決定、
2040年までに高架道路は撤去されることとなった。80年近い時を経て、日本橋が空を取り戻す。 東京五輪の前年に
開通した首都高は、当初は住民らに歓迎されていたという。

「手塚治虫の世界みたいだと思いました。漫画の世界が現実になる。わくわくする気持ちが大きかった」 日本橋にほど
近い、大正元年創業の書画用品専門店「有便堂」の代表、石川雅敏さん(68歳)は、小学生当時をそう振り返る。住民の
間に反対運動はなかったという。しかし完成した首都高は橋を分断するように上空を大きく横切り、晴れた日も光が届かない。 
「仕切りができたようなうな感じ。首都高に日本橋と書かれた看板があり、首都高を日本橋だと勘違いする人がいると
いうことに、がっくりとしましたね」。


画像引用:Wikipedia

1968年に地元住民や企業は「名橋『日本橋』保存会」を発足。本来の景観と街の活気を取り戻すために活動を始めた。2011年の
東日本大震災で高速道路の安全対策への意識が高まり、その後行った署名活動では計約44万人が署名。地道な活動が実を結び、
翌年に首都高の老朽化による大規模更新に伴う地下化ルートが決定した。会長の元三越社長、中村胤夫氏(84歳)は「日本橋は
土木と設計と装飾が一体となってできあがった美しい橋。装飾の麒麟と獅子も日を浴びることができ喜ぶと思う」と笑顔を見せた。
首都高速道路によると、地下化に向けた工事は2020年11月に着手し、2021年5月から首都高の呉服橋と江戸橋出入口を廃止して
本格的な工事が始まる。2035年にトンネルが開通、高架道路の撤去は2040年までに完了する予定という。
参考:Microsoft News



日本橋1兆円の巨大再開発 三井不動産、川沿い再生へ


高速道路高架橋がかかる前の日本橋

2040年に広い空の広がる日本橋界隈


総事業費が1兆円とも見積もられる国内最大級の再開発事業が東京・日本橋で動き出した。日本橋を創業の地とする三井不動産が
主導し、東京建物など他のデベロッパーや江戸時代から続く老舗企業も巻き込む。日本橋川に青空を取り戻す首都高速道路の
地下化も並行して進む。工事全体が完成する2040年度に向けて、巨大プロジェクトが姿を現し始めた。「日本橋川沿いの再開発は
20年前から、地権者と勉強会を重ねてきた」。中央区の栗村一彰・地域整備課長は振り返る。江戸時代の五街道の起点として
発展した日本橋だが、オフィスビルなどの建物は老朽化し小さな店も数多く残る。寝具の西川(1566年創業)や食品卸の国分
グループ本社(同1712年)、山本海苔店(同1849年)――。日本橋で150〜400年商いを営む老舗企業、三井不動産や東京建物
といった大手デベロッパー、そこに中央区も加わり、日本橋川沿いの地区を再開発する。

敷地面積は約6万7千平方メートル、施設の延べ床面積は約122万平方メートルだ。総事業費は数千億円〜1兆円。森ビルが
虎ノ門で手がける再開発「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が約5800億円、三菱地所が東京駅前の八重洲で計画する再開発が
約5000億円、東急の渋谷再開発が約1350億円だから、これらと比べても、その事業規模の大きさがわかる。最も早く進むのが
三井不や野村不動産などが参画する「日本橋一丁目中地区」だ。野村グループや日本橋西川ビルなど大小27の建物を取り壊し、
3つの街区に分けて再開発する。その中心は高さ284メートルの超高層ビル。オフィスや商業施設、住宅のほか、上層階には
米ヒルトンの最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア」が初進出する。

「軍艦ビル」と親しまれる野村証券の旧本社ビルも戦前に建てられた古い部分を残しつつ、新たなビルに生まれ変わる。建物
での太陽光発電の採用も検討、「脱炭素」にも取り組む。同地区の再開発は21年夏ごろに着工し、25年度の竣工を予定する。
三井不動産は隣接する日本橋地区や室町地区の再開発も担う。東京建物はみずほ信託銀行の本店がある場所を再開発する。
オフィスや飲食店、金融関連施設で構成する複合ビルを2029年に建てる予定。隣には水辺空間を生み出し、全体で2035年
度までに完了させる。

分断されている大手町と日本橋地区の間には地下道路もできる。長谷川伸二・都市開発事業部課長は「東京国際フォーラム
までの約2キロが地下でつながる」と人の往来に期待を寄せる。日本橋再開発が注目を集めるのは事業規模だけではない。
計画が始まったのは約20年前の1999年。官民や地域が一体となり「日本橋再生計画」が始まった。足かけ40年にわたる
長期のプロジェクトだ。計画の中心になった三井不動産の日本橋再生にかける思いは格別。江戸時代、三井家の家祖である
三井高利が呉服店を開くなど日本橋が創業の地だからだ。旧東急百貨店日本橋店の跡地を取得し、04年に開業した
「コレド日本橋」を皮切りに地元で商業施設やホテルなどをオープンさせた。

利害が一致しない関係者のベクトルを同じ方向に向かわせたのが首都高地下化の議論だった。街の再開発と連動し、妥協
するかどうかを含め決めかねていた多くの地権者を動かす存在となった。日本橋川上空の首都高は1963年、翌年の東京
五輪を前に建設された。当時は都心部の渋滞解消や五輪時の輸送面を目的に作られたが、開通から半世紀以上が経過し老朽化
が問題となっていた。景観を改善し街のにぎわいのためにも同区間の地下化の必要性が提唱された。日本橋再生のために
日本橋川沿岸の再開発と首都高速道路の地下化は車の両輪と捉えられるようになった。

地下化で日本橋川沿いには川幅を含め約100メートル、長さ約1200メートルに及ぶ「親水空間」が生まれる。デベロッパー
にも、国際的な都市間競争では日本橋は香港や欧米の都市などと戦う必要があり、国内勢でやり合っている余裕はないと
いう意識も芽生えてきた。現在は道路の舗装や通りの整備などを統一しようと様々な議論を重ねている。7年前、前回の
東京五輪に向けて架けられた首都高速道路が今回の五輪後に地下化され、歩調をそろえるように日本橋は自然と共生した
街に生まれ変わる。それは大規模再開発の目的が「経済最優先」から「SDGs(持続可能な開発目標)実現」に変わる
時代の転換を象徴している。

日経産業新聞2021年4月8日を引用、編集



2017年 日本橋室町祭り




日本で一番長いトンネル、C2中央環状線の西側部分に相当する全長18.2kmの山手トンネル



日本橋を覆う高速道路高架橋の撤去を決定
Decision to remove Expressway above Nihonbashi-Bridge
The article was written in August 2018, and added in April 2021, by Junhaku Miyamoto, M.D., Ph.D.
This information was provided by the Smokefree Hotel and Travel.




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