映画「クナシリ」都合の悪い真実

国後島：都合の悪い真実

北方領土､四島は150年以上前から日本固有の領土としての長い歴史がある。一度たりとも外国に支配されたこと
はない。明らかな事実は、1855年には平和的な話し合いで日露和親条約が締結され、択捉島以南を日本領として
画定していたことである。

ヤルタ密約を受けソ連参戦

1941年に日本とソビエト連邦との間で日ソ中立条約が結ばれた。しかし、日本の敗戦が確実となりドイツが降伏
した直前の1945年4月、日ソ中立条約の破棄を宣言した。しかし、破棄しても、その期限は1946年4月なので、
日本は米英との和平工作を信頼していたソ連に依頼していた。いま考えてみても、当時の甘い、無知な日本軍事
政府の態度は到底理解できない。米英ソの参加したヤルタ密約を受けて、1945年8月8日、ソ連軍はに突如、
日本に宣戦を布告、ソ連軍は8月9日に戦闘を開始し、南樺太、千島列島に侵攻した。軍隊は日本が聯合国に
降伏した8月15日以降も侵攻を続け、一週間ほどで千島列島全域を無血占領し、9月2日にやっと戦闘を中止した
と言われる。その後も日本固有の南千島の占領を続けたまま、千島全島をソ連（今のロシア）に編入し、自国の
領土としている。

国後島は北海道の北、千島列島南部に位置する
Source: Reuters (2007)/Kyodo and NHK broadcast Feberuary 13, 2011

In Japan, August 14 is considered to be the day that the Pacific War ended, and Imperial Japan actually surrendered on
August 15. This day became known in the English-speaking countries as" Victory over Japan Day".
However, Russian Military force landed on the Etorofu Island, a part of Hokkaido on August 28, despite the war had been ended,
and quickly occupied our Northern Islands of Japan for only nine days.

1945年8月15日の日本は連合国に降伏し、第二次大戦は終了した。しかし、ソビエト軍は9月5日と8月28日の期間中に
日本固有の北方領土を不法に占領した。
Japan claims that the islands are occupied illegally as the Soviet Union during the period of August 28 and September 5,
after Japan's surrender on August 15, 1945.

(L）1945年8月28日にソビエト軍は上陸用舟艇で北方諸島に上陸、占領した
(R）北方領土にたなびくソビエト国旗
Source: NHK broadcast January 8, and February 13, 2011

1945年以前に北方領土には、17,000人の住民が住んでいたが、ソビエト軍によって強制退去されられた
Photo: NHK broadcast, Feberuary 13, 2011.

(L）1945年8月28日にソビエト軍は上陸用舟艇で北方諸島に上陸、占領した
(R）北方領土にたなびくソビエト国旗
Source: NHK broadcast January 8, and February 13, 2011

1945年以前に北方領土には、17,000人の住民が住んでいたが、ソビエト軍によって強制退去されられた
Photo: NHK broadcast, Feberuary 13, 2011.

映画「クナシリ」都合の悪い真実

知床半島に隣接している国後島、雄大な自然が広がるり、島の面積は沖縄本島を上回る。かって日本人が暮らしていた
島、今そこには多くのロシア人が住み、開発が進められている。ロシア政府の主導で病院や学校が次々に建設され、
首相や閣僚が島を訪問し、ロシア国営メディアを中心に、その発展を宣伝してきた。首相はこう述べる。「島々への
施策によって投資や経済活動がより効果的になるようにしたい」

国後島にはロシア人が8,000人あまり暮らしている。この島を舞台にドキメンタリー映画を撮影した監督がいる。
ベラルーシ出身のウラジーミル・コズロフ氏だ。監督が描いたのは、これまでロシアのメディアが報道しなかった
「不都合な真実」だ。監督は開発の裏に潜む負の側面を次々と切り取って行く。島の一角に放置されたままになって
いる大量のゴミ、取材に協力した女性は「島は発展している」というロシア政府の主張に反論、「自宅には40年間も
トイレさえもない」「歩けない夫はバケツを使用」「浄化槽を設置すればいいが、それは自分でやればいい」と。

コズロフ監督は国後島に1ヵ月缶滞在し撮影を進めたが、あるがままの人々の暮らしを描こうとしてきたという。
「親日や親ロシアの映画を作るつもりはなかった。島の暮らしを見せる映画を作りたかっただけ。明るい真実では
なく、都合の悪い真実を描いた。」監督が映画の中で特にこだわったのは、日本と島を巡る複雑な歴史だ。

かって北方四島に暮らした17,000人の日本人；しかし、ソ連軍は日ソ中立条約を一方的に破棄し、ソビエト軍が
侵攻、多くの日本人が島を追われた。それから76年、今も日本人が暮らした痕跡が残されている。草に覆われて
いるが、まだ使える日本人の道路がある。「日本人は故郷から強制的に退去させられた。そんな追放は世界史上、
非常にまれだ。」

北方四島には日本の主権があり、オバマ政権として日本支持を表明

アメリカ国務省のクローリー次官補は、「日ロ間に領土問題があることは十分に認識しており、北方領土に関しては
日本を支持する」と述べ、北方四島の日本の主権を認めるという立場を明確に示し、オバマ政権としても改めて
確認した。

Picture Source: NHK News November 2, 2010

ヤルタ密約に疑念、英国秘密文書で判明

米国に引き続き英国がヤルタ密約の有効性に懸念を示している。ヤルタ密約は軍事協定に過ぎず、国際法としての
根拠を持っていない。当事国が関与しない領土の移転は無効という国際法にも違反している。米国は戦後、日本の
立場を支持し、ソ連の法的根拠を認めない姿勢を示してきた。米上院は1951年にサンフランシスコ講和条約を
批准承認する際、ソ連に有利となるヤルタ密約の項目を「含めない」との決議をし、アイゼンハワー政権も
1956年に「ヤルタ密約は無効」を発表。2005年には当時のブッシュ大統領は、ソ連邦から分離独立したバルト
三国のひとつ、ラトビアの首都リガで「ヤルタ会談は史上最大の過ちの一つ」と批判した。

ロシア世論調査結果

Picture source: NHK BS broadcast 8 February 2019

ロシアの独立系調査会社が2018年11月、ロシア全土で行った世論調査で、「日本と平和条約を締結し、経済
協力を発展させるため北方領土のいくつかの島を引き渡す」ことについて、「反対」は78％、「賛成」と
答えた人は17％であった。これは1992年以来行われてきた同様の調査の中で最も多い数字。
前回2016年５月に行われた調査では「賛成」は７％であった。引用：2018年12月01日　@niftyニュース

2018年11月に行ったロシアの政府系世論調査機関によると、領土の引き渡しに反対する人が77％にも及ぶ。
一方、領土引き渡しに賛成者は14％を占め、4％の人が「絶対に引き渡す」と答えている。「極めて短期間の
戦闘により占領した日本固有の領土は返還すべき」との良心的な見解を持つロシア人と言えよう。

ロシア人の領土意識には、ヤルタ密約のあと、ソ連が日ソ不可侵条約を破って日本北部の島々に侵攻し、米国が
小笠原諸島、沖縄を日本に返還後も、北方四島を自国領土として占拠している経緯を全く知らされていない。
現地の学校では教員が北海道と歯舞諸島との間に引かれた国境線の描かれ、歯舞色丹島を「小南クルリ諸島」と
した地図を示して生徒たちを指導している。彼らは日本の発信するテレビ放送を見ることはないのだろうか。

Picture source: NHK BS broadcast 8 February 2019

戦争が国境線を決める。これは、野蛮、危険かつ間違った考えである。もし万一そのことを認めるならば、永久に
戦争は終わらず、国際社会は闇の世界となろう。国境線を決めるのは、戦闘行為でなく、あくまで国際法である
べきだ。さもないと、際限なく戦争が起こるのを防止し得なくなる。
そのような戦争の「負の連鎖」に終止符を打とうとして、第２次大戦終結前後に、連合国は領土不拡大の原則に
同意した。「大西洋憲章」「カイロ宣言」「ポツダム宣言」「国連憲章」の条文がそうである。もとより、
スターリン下のソ連も、これら全ての条約、協定、申し合わせに同意し、署名した。

米国はこの原則を守り、軍事占領した沖縄を日本へ戻した。しかし、スターリン下のソ連は、国際法、その他
あらゆる諸条約に違反して、北方領土を軍事占領した。だが、他国領土の軍事的占領は、その領域に対する主権の
取得を意味しない。米国、日本、全ての諸国は、このことを承知している。
引用：2019年2月木村北海道大学名誉教授
（注）この記事は安倍政権の政治的圧力によるのものか、ほぼ全文が削除されている。

丸山議員の発言は安倍首相のロシアに対する馬鹿げた弱腰外交に対する警鐘である。新たに戦争行為を引き起こす
ことは論外だが、丸山氏の発言にある北方領土を不法に占拠してきたのはロシア側だ。2019年7月の参議院選挙
後に「NHKから国民を守る党」に入党したなど、その政治姿勢には疑問を抱かるざるを得ないが、維新の片山
虎之共同代表らがロシア大使館でガルージン駐日大使と会談し、陳謝した対応について、「ロシアに誤った
メッセージを送りかねない」と批判したことは全く正しい。

元島民たちの悲痛な叫び声を抑えて、日本固有の領土を放棄し、ただ平和条約の締結のみを目標とし、政権の手柄を
目論み、互いに「ウラジーミル」「シンゾー」と呼び合い、安倍首相は「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」
とまで語りかけた、プーチンに騙された安倍首相の姿勢こそ問題だ。
※安倍氏は2022年7月に殺害されたが、その後の国葬には56％から62％の人が反対した。

靖国神社の戦犯合祀・・A級戦犯は分祀または廃祀すべき

 分断進む世界対立か対話か：侵攻後にロシアへの好感度増した国も
日本は2012年の16％から2022年には8％まで下落
引用　NHK 2023.9.20

北方領土で出生したロシア人は日本に入れない悲しい現実: The island of Hokkaido, Shikotan
　
北海道の島嶼、色丹島で生まれ、樺太のユジノサハリンスクで日本語を教えているロシア人の女子大学生が、日本に渡り
日本とロシアの懸け橋となりたいが、不法占拠しているロシアの政治的絡みがあり（半永久的に）実現できない。

Born in the Island of Shikotan, off Hokkaido, a female Rusian university student, teaching Japanese in
Yuzhno-Sakhalinsk, Sakhalin, wants to visit to Japan, and desires to become a bridge between Japan
and Russia. However, because of a political entanglement in Russia that is illegally occupying there,
it is said that it cannot be realized.

映画「クナシリ」都合の悪い真実

知床半島に隣接している国後島、雄大な自然が広がるり、島の面積は沖縄本島を上回る。かって日本人が暮らしていた
島、今そこには多くのロシア人が住み、開発が進められている。ロシア政府の主導で病院や学校が次々に建設され、
首相や閣僚が島を訪問し、ロシア国営メディアを中心に、その発展を宣伝してきた。首相はこう述べる。「島々への
施策によって投資や経済活動がより効果的になるようにしたい」

国後島にはロシア人が8,000人あまり暮らしている。この島を舞台にドキメンタリー映画を撮影した監督がいる。
ベラルーシ出身のウラジーミル・コズロフ氏だ。監督が描いたのは、これまでロシアのメディアが報道しなかった
「不都合な真実」だ。監督は開発の裏に潜む負の側面を次々と切り取って行く。島の一角に放置されたままになって
いる大量のゴミ、取材に協力した女性は「島は発展している」というロシア政府の主張に反論、「自宅には40年間も
トイレさえもない」「歩けない夫はバケツを使用」「浄化槽を設置すればいいが、それは自分でやればいい」と。

コズロフ監督は国後島に1ヵ月缶滞在し撮影を進めたが、あるがままの人々の暮らしを描こうとしてきたという。
「親日や親ロシアの映画を作るつもりはなかった。島の暮らしを見せる映画を作りたかっただけ。明るい真実では
なく、都合の悪い真実を描いた。」監督が映画の中で特にこだわったのは、日本と島を巡る複雑な歴史だ。

かって北方四島に暮らした17,000人の日本人；しかし、ソ連軍は日ソ中立条約を一方的に破棄し、ソビエト軍が
侵攻、多くの日本人が島を追われた。それから76年、今も日本人が暮らした痕跡が残されている。草に覆われて
いるが、まだ使える日本人の道路がある。「日本人は故郷から強制的に退去させられた。そんな追放は世界史上、
非常にまれだ。」

映画の中で監督は日本時代の微妙な影が島民のこころに落としていることを描いている。76年前から島で暮らす
男性は「日本人が残した産業インフラや生活用品がいかに優れていたか」を覚えている。「我々は日本人から
多くを学び、受け継いだ港や漁業の技術などもある」。厳しい暮らしが続くうちに、この男性は日本の支援に
期待をよせるようになった。「あの湾にしても排水が全部流れ込んで汚染されている。日本人ならきっと何とか
してくれる。彼らの養殖産業は発達しているからね。日本と早く平和条約を締結したいとの声も監督は拾い上げて
いる。

「95％の人は島を引き渡すべきではないと考えるが、経済の活性化のためなら日本との協力もいとわない」との
本音も引き出している。「一般庶民は日本との条約締結を望んでいる。そうして雇用を生まなければ、住民は
酒に溺れて死ぬか、島を去るだけだろう」。

寒風の吹くなか集められた人々。映画のクライマックスには毎年行われる戦勝記念日の様子を盛り込んだ。スピーチ
で「退役軍人の皆さまです。祖国のために戦った方々です」。政府は人々の愛国心に訴えることで不満をそらそうと
している様子を監督は描いている。ソビエト時代のように、ソビエト軍が勇敢に偉業を成し遂げたという神話が
作られ続けている。

映画「クナシリ」はロシアのほとんどの映画館で上映を拒否された。しかし、2021年4月にモスクワで上映に漕ぎ
つけた。映画を見たロシア人は、「貧しい生活で見捨てられた人たちを見て悲しい」「観光などのチャンスが生か
されていないのはとても残念だ」と語る。「この映画をきっかけに、ロシアの人も島の現実を知り、島の将来を巡る
議論が深まって行くことを願っている」とコズロフ氏は話す。「これは社会的な複雑な映画だ、状況は簡単では
ないが今後何かが起こればと思う。しかし、住民は多くの問題を解決するため、現在の国境を見直すことにはなら
ないでしょう」と述べている。2020年にプーチン大統領は憲法を改め、領土の割譲を禁止した。日本への島の
引き渡しについて発言することすら違法とされてしまう中で世論は一層硬化している。北方領土については、ロシア
のみならず、日本にとっても不都合な現実が横たわったままだ。
情報引用元：NHK BS 国際報道 October 14, 2021

English Version

映画「クナシリ」都合の悪い真実
執筆　医学博士宮本順伯
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This information was provided by the Smokefree Hotel and Travel.
The article was written in October 2021, by Junhaku Miyamoto, M.D., Ph.D.
Information was added in September 2023.
Copyright (C) 2021 Junhaku Miyamoto, PhD. All right is reserved.

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