人口減少により経済社会システムの維持困難 ?




人口減少が進む中、このままでは経済社会システムが維持できなくなるとして、民間の有識者らで作る「人口戦略会議」は、
2100年に人口を8000万人で安定化させることを目標とする提言「人口ビジョン2100」を発表した。 厚生労働提言では、
このまま急激な人口減少が続けば市場の縮小によって、あらゆる経済社会システムが現状を維持できなくなり、先行して
人口が減少する地方で消滅する自治体が相次ぐと指摘している。その上で、2021年の時点で1.26となっている合計特殊
出生率を、2060年に人口を長期的に維持するのに必要な2.07に改善させ、2100年に人口を8000万人の規模で安定させて
成長力のある社会を構築することを目指すべきだとしている。 しかし、その実現には、2040年ごろまでに出生率が 1.6、
2050年ごろまでに 1.8に到達することが望まれるとしている。

次のようなケースが想定される。・・・・
「Aケース」…2100年に9100万人、2040年に合計特殊出生率が人口を長期的に維持するのに必要な2.07に到達し、人口は
2100年に9100万人になる。 その時点での高齢化率は28%となり、外国人の割合は10%となる。
「Bケース」…2100年に8000万人、 出生率が2060年に2.07に達し、2100年には人口が8000万人で安定する。 高齢化率は
30%、外国人の割合は10%となる。
「Cケース」…2100年に6300万人、 一方、出生率は1.36で推移するシナリオで、2100年に6300万人となる。

Picture source: NHK 2024.1.9

厚生労働省の「国立社会保障・人口問題研究所」は2020年の国勢調査の結果を基に、日本の人口が2056年には1億人を下回り、
2100年にはおよそ6300万人に半減するという推計をまとめている。 その上で、2022年の時点で1.26となっている合計特殊
出生率を、2060年に人口を長期的に維持するのに必要な2.07に改善させ、2100年に人口を8000万人の規模で安定させて
成長力のある社会を構築することを目指すべきだとしている。 そして、有識者や経済界、地方自治体などが自主的に参加する
「国民会議」を立ち上げて、総合的・長期的な視点から議論を行うとともに、官民挙げて対策に取り組む必要があるとしている。

一方、人口減少社会の大きな利点に地球上の環境保全を挙げることが出来る。京都大学広井教授の話を引用すると、・・・

歴史的に見れば人口が右肩上がりに上昇を続けてきたこの100年間は、むしろ特殊な時代でした。日本の人口は、0794年に
都が平安京に遷都して以降、ほぼ横ばいで推移していましたが、江戸時代に入り若干人口は増えたものの、3,000万人程度に
落ち着き再び横ばいになりました。それが明治時代から急激に増加をはじめ、太平洋戦争時に一時的に減少しましたものの、
戦後の復興と高度経済成長期に再び爆発的に増加しています。

また、他の先進国と比較しても、私は日本が1億数千万人でなければならない合理性はない。例えば、イギリス、フランス、
イタリアは、いずれも人口6,000万人、ドイツは8,000万人程度です。国土の面積が異なるため単純比較はできないものの、
1億人を割るから国が維持できなくなるとは必ずしも言えない。このまま少子化が進めば、若者が少なく高齢者が多い社会
構造が続き、様々な問題が引き起こされる。

東京一極集中の現象。地方から東京への人口移動がもっとも大きかったのは1960年代で、"集団就職"という言葉が象徴する
ように、全国から多くの若者が東京に働きに出て来て、地方は過疎化し現代の地域格差を引き起こしました 。 ここで、格差
・健康・幸福度といった観点で見ると、地方分散型の方が望ましいという予測もあります。ビルが林立し、そこの自然環境が
次ぎ次に失われて行く都市型成長の先に見えてくるのは、明治、大正時代にあった、美しい、心の安らぎを実感する世界の
消失です。

人口減少が緩やかに進行し、日本の人口が 8000万人前後で静止することが、望ましい未来社会の姿かもしれません。


1都3県初の人口減、東京へ流入鈍る
縮小日本 2045年には東京の人口も減少
世界の人口は減少局面に?


編集作成執筆 医学博士 宮本順伯
引用:NHK, 時事通信ニュース」、日本商工会議所、京都大学広井教授
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The article was written in January 2024,
by Junhaku Miyamoto, M.D., PhD.
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