次世代の新規太陽電池材料として期待を寄せられているのが、「ペロブスカイト太陽電池」だ。
ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、「シリコン系
太陽電池」や「化合物系太陽電池」にも匹敵する高い変換効率を達成している。ペロブスカイト膜は、
塗布(スピンコート)技術で容易に作製できるため、既存の太陽電池よりも低価格になる。さらに、
フレキシブルで軽量な太陽電池が実現でき、シリコン系太陽電池では困難なところにも設置することが
可能になる。このような特徴を有する太陽電池で、シリコン系太陽電池と同程度の変換効率を有する
ものは無かった。ペロブスカイト太陽電池の登場によって、理想的な太陽電池が実現可能になった。
変換効率をさらに高めて、実用に耐えられる耐久性も備えられれば、加工しやすい透明フィルムの
太陽電池を開発できる。屋外用や屋内用、携帯用など、広い用途の民生用産業材料が誕生する。
宮坂教授らがこのフレキシブル太陽電池を100回以上曲げる試験を実施したところ、その性能が
安定していたことも確かめている。 しかし、実用面に於いては中国が大きく先んじている。
Picture source: 朝日放送[サタデーステーション]
朝日放送では、世界最大の再生エネルギー国、中国江蘇省の大正微納科技も22年7月にで量産を始めたペロブスカイト
生産工場を取材して報告している。生産工程は意外に簡単で、ペロブスカイトを塗り、洗浄、乾燥させ、結晶化する。
鏡のような極く薄い茶色でフレキシブルなものである。この時、60cmX120cmの大きさのものが製作されていた。
厦門「アモイ」には、2024年8月の供給向け巨大工場の建設が始まっている。2023年末までには電気自動車車庫も
建造する。 従来のシリコン型太陽電池:0.60 wh vs. ペロブスカイト型太陽電池: 1.30 wh
実用面では中国に先を越されたが、。過去20年間の蓄積では日本が首位で、耐久性の技術などの強みを武器に新市場を
開拓する必要がある。日本では印刷技術に強みがある。基本的にはフィルムに塗るインクを替えるだけで日本独自の
[ロール to ロール]製法で洗浄から塗布の工程を一気に行う。数百メートルのペロブスカイトを一気に量産、2025年
発売を目標としている。耐久性は10年以上だが、コストは普及次第で、各家庭に1台普及すれば、原発の発電量を置き
換えることさえ可能となる。政府もペロブスカイト型太陽電池の早期実現を目指し支援する構えである。中国の低価格
製品に、今後とも対抗出来て、販売を伸ばして行けるかが正念場である。
日本の現状参考サイト:Sustainable Japan
世界人口増加と環境破壊
新潟県長岡市のガス田の開発
ペロブスカイト太陽電池
2023年9月 執筆 医学博士 宮本順伯
This article was written by Junhaku Miyamoto, MD, PhD., in September 2023.
★This Web site is link-free. 記事の内容は2023年9月9日放映の朝日放送[サタデーステーション]及び[科学技術振興機構]の内容を引用
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