長谷先生:
藤沢の長谷先生、大阪からかけつけてくださった野上先生:理事長の作田先生、
クリーンエアの集いにおいでいただいた多くの方々、ご苦労様でした。
「禁煙席ネット」の宮本順伯です。
長谷先生も「全面禁煙条例をぜひ制定」と述べられているのですから、
団体名称の「分煙推進」を削除していただくことは大変難しいでしょうか?
「分煙推進」はJT側のキャンペーンであることは、多分ご承知のことと
思います。
宮本先生:
全面禁煙が世界の常識ですし、私も心から願って おります。しかし、今の
日本の現状を打開する方法は 新内閣総理大臣、麻生太郎氏に国として
FCTCを遵守し、2010年2月までに国が受動喫煙防止の対策を間に合わせる
対策を取るようにアクションを起こさせる→期待できますか?可能でしょうか?
はたして 医学的見地を大上段に振りかざして(言葉が悪いようなら失礼します)、
分煙は全く認めない、松沢知事の譲歩した骨子案ならやらないほうがまし
(先生はそうホームページの中で書かれておられますが)と発言したり、考えて
たりすることが 推進を加速させることでしょうか?
めざすゴールは同じでも方法論は色々な選択枝があります。お互い、認め合う
ところは 認め合い、目をつぶるとことは目をつぶる。そういう肝要な態度が今、
必要なのではないでしょうか?私は加濃先生といつも意見が食い違い、激論を
交わしますが、お互いに認め合い、取っ組み合いの喧嘩と仲間割れはしない
ようにしましょうと紳士協定の上でやっています。
JTの考える分煙と 神奈川会議の分煙はまったく意味が異なるものであることを
理解してほしいと思います。JTは分煙がゴール、神奈川会議は分煙は完全禁煙
への一里塚、タバコを吸う方と吸わない方がいる限り、分煙という大きな概念は
取り去れないのではないでしょうか?
私は産業医をしており、茅ヶ崎のトピー工業で喫煙対策を進めてきました。
約10年かかって社内に喫煙室設置をして、喫煙対策委員会を会社内に設けさせ、
全国で4社あるトピー工業の中でも最も喫煙対策が進んだ営業所にしました。
昨日のビル・トッテン社長のようにわが社は喫煙は完全にNOと言ってくれれば
簡単です。しかし、世の中、簡単ではありません。
失礼ながら私も 神奈川県内科医学会の神奈川禁煙・分煙推進委員長を拝命し
それなりの知識があるつもりです。アプローチの方法はおしきせでなく、
それぞれにおまかせいただけませんか?
先生のご活躍で東京都の全面禁煙条例が制定されることが日本の無策に
最も影響を与えてくれるとことは確信いたしますし期待しております!!
私も神奈川県のタクシーの禁煙化に最も力を入れた人間の一人としてプライドが
あります。東京都は当初、禁煙タクシーの%を20%にすることを目標として
いましたが、神奈川県が法人、個人を含め全面禁煙になったこことに重きを
置き、全面禁煙化へとなりました。私は神奈川県のタクシー協会へ自分を
売り込み総会での医学的な講演を30分間させていただき、タクシーの全面
禁煙化が決定されました。
お互いがお互いの活動を認め合い、推進することこそ今、この喫煙対策
後進国に必要なことではないでしょうか?
ですから名前の”そこ”がだめだからという発言は私は控えていただきたいと
思います。
長谷先生:
早速のご返事をありがとうございました。故五島雄一郎先生の内科の講義を
私も受けました。当時、先生は講師で、立て板に水を流すように話をされ、
筆記するのが精一杯だったことをよく覚えております。
中山会長と故五島先生との命名された「禁煙、分煙活動を推進する神奈川県
会議」の名称のうち「分煙」の二文字は絶対に削除できないようなご意見ですが、
社会は常に変動するものだということを先ずお考えいただきたいと思います。
私が2001年から2003年にかけて、本を出版するための資料つくりに
東京都内のレストラン、カフェ、1500店舗に実際に立ち入り取材した際には
ほとんどの 飲食店内でタバコを吸えるのがあたりまえなことで、ごく一部の
人たちが「禁煙席のある店」を利用している程度でした。当時、完全分煙で
あったチェーン店舗はほとんどなく、「タリーズコーヒー」がそれに近い形態で
営業していました。当時として画期的なことは、従業員の働くスペースは
必ず禁煙セクションにあったことです。
完全分煙の最大の欠点は、喫煙セクションに立ち入る従業員が多大の健康
被害を受けることが明らかなことです。ほとんどの国の「受動喫煙防止法:
禁煙法」でも、その目的に、そこで働く人が健康被害を受けないようにする
ことが記されております。すべての人が職場で健康被害をうけないで働く
権利があるからです。
もう一つの「分煙」の大きな欠点は「全面禁煙」と「完全分煙」との店舗が
同時に存在する場合、「完全分煙」の店に客が流れ、「全面禁煙」の店の
営業成績が低下する経済的な問題があります。その結果、「完全分煙」
出来ない狭いスペースで営業している飲食店は廃業に追い込まれる
危険性さえも発生するのです。生活が脅かされるような条例には誰もが
反対するのは当然です。
こうしたことはスイス、ドイツでも問題視され、安易に妥協したポルトガル、
スペインでは小さな飲食店ではタバコが自由に吸えます。妥協を排除した
英国、アイルランド、米国カリフォルニア州、カナダオンタリオ州などでは
医療費削減、癌、心疾患の大幅な減少が報告されております。
法律という「受動喫煙防止法」を作るなら将来、それが悪法だと批判され
ないことが必要です。反対が多いから、皆の理解が得られないから、
自民党内閣のもとではタバコ規制は難しいからと、劣悪な現状を追認する
ような中途半端な法律は作らない方がよいように思われます。
私の世界喫煙規制検証旅行ではっきりとしたこと、そこに共通していた
ことは「屋内全面喫煙規制」です。「完全分煙」を法律で認めている国は
少数です。その場合でも「喫煙スペース」に従業員が立ち入ることを
禁止するなど従業員の健康に配慮しています。もし、日本で条例で
飲食店での「完全分煙」を認めたら、従業員はきわめて劣悪な環境で働く
ことを強いられます。そのようなことを「法律」という形で認めよと言われる
のですか?そうした法律を作って、果たして健康的な社会へ前進したと
いえるでしょうか?
「東京都に住んでいたら東京で完全禁煙を実現したらどうか」「神奈川県
のことは神奈川県民にまかせよ」とも受け止められるお言葉ですが、
神奈川県受動喫煙防止条例は単に神奈川県だけの問題ではないのです。
日本のタバコ行政を変革出来るか否かの非常に重要な問題なのです。
そのことをよく認識してください。
NHK放送画面(分煙活動を推進するの文字が一番目につく)
私は長谷先生らの行っている活動を否定するものではありません。
心配しているのは「分煙活動を推進する」の団体名のみが一人歩きして、
「分煙」が一番いいような印象を神奈川県民や日本国民に与える
大きな悪影響です。
2008年9月23日 東京都在住「禁煙席ネット」宮本順伯
長谷先生も宮本先生も、屋内施設完全禁煙を願って尽力されていらっしゃいます。
長谷先生は喫煙無法地帯に分け入って、一歩一歩禁煙を広げて来られたわけで、
世の中を変えるのは大変なんだと実感されておられ、また、宮本先生は日本以外
の国々の喫煙規制の実際を目の当たりに見て、地球レベルで禁煙が進んでいる
ことを実感されておられます。
お二人のお立場に基本的な差異はないと思います。
これまでの日本の禁煙運動を強引にまとめると、分煙を短期目標、屋内完全禁煙を
長期目標としてきたと思います。
喫煙が野放しに行われていた時代、分煙という概念はとても大きな武器に
なりました。現在でも、完全禁煙にいたる過渡的対策としての分煙の意義は
いささかも失われていません。
しかしながら、今後の日本の禁煙運動の「短期目標」については、「分煙」から
「屋内完全禁煙」に切り替える必要があると思います。
その理由は、
1.「分煙」では分煙施設の喫煙区域で働く人々の健康は守れない
2.「分煙」では、禁煙区域の非喫煙者の健康も守れない
3.「屋内完全禁煙」を長期目標にした場合、喫煙区域で働く人々の命と健康が
今後数年間も脅かされたまま放置することになり座視できない
4.「屋内完全禁煙」を短期的目標に掲げても、大多数の国民の支持が得られる
時代になった
5.「屋内完全禁煙」が喫緊の課題だという理解を得られる「構え」の大きな
運動を作ってこそ、喫煙規制ゼロの分野での「分煙」も前進する
したがって、私個人としては、たとえば、団体名から「分煙」という言葉をなくす
ことにより、短期目標が屋内完全禁煙であるというスタンスを明確に表現する
ことができると思います。分煙という名前を削ったとしても、過渡的対策としての
分煙化の主張が必要な場面は分煙を要求すべきであることは言うまでもない
と思います。短期目標を「屋内完全禁煙」と設定して、これまでの運動を見直す
ことは非常に重要だと思います。
要は、今までよりも、運動をスピードアップする必要があるということだと思い
ます。昨年来のタクシーの禁煙化の流れは、私たちの予想を超えて早く進みました。
この意味で、上記4の点の理解が重要だと思います。
松崎道幸
(注)2008年当時のやりとりの内容はすべて原文のまま
論説 分煙は不可、神奈川県の過ちを繰り返すな!
・・ 先進国が2003年に放棄した分煙制度を採用して何が先進的なのか
・・ 労働者の健康を無視し、制定ありきのパフォーマンスに終始した県条例
・・『純正品の効用を引用して、まがい物を販売する商人』松沢成文
分煙室はガス部屋
「日本禁煙学会」退会宣言
東京都が独自の喫煙規制策を実行、従業員のいる飲食店では屋内全面禁煙
宣言 2018年11月22日 宮本順伯
自己の健康を守るため、飲食店は必ず全席禁煙の店を利用、
どのような状況でも時間分煙、完全分煙の店は利用しません。
ホテル、旅館は原則全室禁煙のところに宿泊します。
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2009年情報公開 2018年6月情報加筆
禁煙席ネット主宰 日本タバコフリー学会顧問 医学博士 宮本順伯