「タバコ追放」イコール「医療費節減」

タバコ中毒者育成国・日本
PART4

● 「タバコ追放」イコール「医療費節減」

日本では、年間、数兆円もの金額が、タバコに起因する病気による超過医療費とされています。そして、
タバコによる医療費の超過分は、その後も毎年増大しているのです。しかも、その医療費の大半は
非喫煙者が負担していまする。喫煙のツケは１０年から２０年たって、数倍もの医療費となってはね
かえって来ます。日本での癌（がん）死亡第一位は胃癌でしたが、今では肺癌が癌死亡の第一位に
入れ替わっているのです。

「健康日本２１世紀」でかかげた「たばこ半減」もペーパー上の目標に終わりました。たばこ追放」イコール
「医療費の抑制、そうした世界の常識が日本では全く通用しません。タバコのために増加した支出が
1996年の時点で、年間5兆6000億円と推定されていることなど、国民は全く知らないのです。

●　「受動喫煙問題」軽視の姿勢から転換する医師

禁煙は生活習慣病を予防する医療の基本であるのに、日本では男性医師の喫煙率が、一般男性の喫煙率
54％の約半分というものの、なお高率です。2000年の調査では男性医師の喫煙率は27.1％であり、2004年
の調査では 21.5％と減少したとはいえ、3％前後の米国医師、2.4％の英国家庭医の喫煙率に比べ、大きく
突出しており、日本の医師自身が依存症の病的状態から脱出できないことを裏付けています。

タバコ病の蔓延を阻止すべく日夜努力している医師は別ですが、多数の医師は上司や仲間の喫煙医師に
遠慮して、喫煙問題に消極的です。東京都医師会でのタバコ対策はタバコ税の値上げ提案にとどまります。
最近になって「タバコ副流煙の防止」のためのポスターを制作し、一般の人にアピールし始めましたが、残念
ながら、非喫煙者を保護するため、レストランを全面禁煙とするなどの副流煙対策の問題提がなされて
いません。

あいまいな態度をとり続けてきた日本医師会では2001年2月になって、ようやく「禁煙キャンペーン」を
宣言し、読売新聞に「喫煙を考え直しなさい」との意見広告を掲載しました。これをスタートとして全国の
医師会館、病院の全面禁煙規制を呼びかけております｡

健康増進法は施行されてから２年もたっというのに、受動喫煙防止PRの先頭に立つべき医師のタバコ
副流煙無視の姿勢はあまり変わって来ていないよいうにも思われました。2004年7月に都心で催された産婦人科
開業医の研究会の懇親会場席上でもで数人の心ない医師が喫煙していましたが、自らが医師であるのも
関わらず、喫煙している間、同席者のかけがえのない健康を侵害しているとの意識を持ち合わせていません。
このような先生に果たして女性や新生児の健康を託することが出来るでしょうか、非常に疑問です。
筆者は文書でこの研究会の開催責任者に抗議し、面談の結果、翌年からは、共催者からの異議がない限り、
懇親会を全面禁煙とするとの確約を取り付けました。

2005年6月、同じ産婦人科医の研究会が都心で開催されました。「禁煙」との標識はありませんでしたが、
灰皿が撤去され、ただ一人たりともタバコを吸う姿はありませんでした。禁煙を啓蒙すべき職業について
いる医師にとって、当然の姿に立ち返ったのです。

これに先立ち、2005年5月の「世界禁煙デー」に、日本医師会は小泉首相、谷垣財務大臣、津島自民党
税制調査会長らに、タバコ税の引き上げ、受動喫煙の防止、タバコ警告表示の強化を求め、禁煙推進の
要望書を提出しました。日本があまりにもタバコについて寛容な国で、国民がタバコの煙の有害性について
全く無知であり、自民党小泉政権がタバコによる国民の健康障害を加速させてことへの警告であるとも
受け取れます。まだ抽象的な表現が多い文言で、多数の人が飲食する場の全面禁煙など、具体的な
提言が欠如しています。しかし、もし「馬の耳に念仏」であれば、どのような内容であろうと水泡に帰して
しまうことになるでしょう。結局は政権交代しか残された道はないのかもしれません。

２００５年６月　禁煙席ネット　主宰　宮本順伯

● タバコの売り上げ増加に期待する業界

2001年に国や地方自治体に納付されたたばこ税は2兆2500億円であり、１兆円に近いタバコ
関連企業の利益は関係者にとって手放しがたい甘い市場であり、広告業界をはじめ、流通小売業
など、タバコ関連産業はタバコの売上に大いに期待しています。タバコが合法商品である限り、
企業収入をあげるために、あらゆる手段でを使って、巧みに、タバコ勧誘を行っているのです。

コンビニの店先に目立つ、「たばこは20歳から」との表示は、20歳になったら吸い始めなさいとも受け
取れます。多くの中高校生徒の立ち寄る東京・南麻布のコンビニ・サンクスの入口には「たばこを
はじめました」との大きな垂れ幕がさがっていました（2002年5月の時点で撤去）。まさか、そのような
ことはなと思いますが、青少年をタバコ中毒予備軍として位置ずけているのではないかと疑いたくなる、
あまりにも無神経なＰＲとしか言いようがありません。こうした、心ない商業主義が子どもを毒し、
中学１年生の喫煙経験が23.4％、高校３年生で47.2％と驚くべき数字になって表れます。肺癌の人
であふれる日本の暗い未来を予言しているようです。10代の少年がコンビニでタバコ欲しさに万引き
をしたとの報道もあります。こうした若者を麻薬中毒患者と同じ体にした責任は誰にあるのでしょう。

ＪＴおよびたばこ業協同組合連合会は、「タバコを吸うなら法律で規制されていない２０才から」との
プロモーションを行っています。2006年6月、埼玉県大宮駅周辺で高校生までも使って行った「タバコは
大人になってからから」とのキャンペーンがその１例である。大人になったからといってタバコの深刻な
有害性が消えるわけでもないのに、「大人になったら吸いなさい」と広報し、未成年の学生を使って、
あたかもよいことをしているような錯覚を市民に与えようとしている。彼らには健康はお金の次に
大切なものなのだろうか。

普通の商品は不要となったり、興味が薄れてくると買わなくなりますが、人を一旦タバコ中毒者に
してしまえば、生涯、たとえ、その日のおかず代を節約してもタバコを買うようになります。
そうした毒物依存性が、不況にも強く、また安定した収入を確保してくれるので、タバコ関連産業
ビズネスは、20代、30代の若者を対象に更なる拡大を目指しています。

日本は世界の異端者　タバコ副流煙を有害と認識していない社会　「受動喫煙問題」軽視の姿勢から転換する医師
タバコ病医療費はタバコ収益の数倍タバコ中毒者が要職の席に座ることの出来る国」日本
タバコが人を変える　タバコ会社はタバコ痴呆の民衆を好む

「受動喫煙問題」軽視の姿勢から転換する医師
執筆　2006年6月「禁煙席ネット」主宰、医学博士宮本順伯

「タバコ中毒者が要職の席に座ることの出来る国」日本

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