● 日本と米国におけるタバコ対応の違い
日本がお手本とすべき米国医師会では、受動喫煙の弊害から国民を守るため、医療の立場に立って、
タバコ会社と対決し、全米すべてのレストランでの禁煙を求める決議も採択しています。
米国クリントン政権はタバコメーカーを「国民を欺いて危険な商品を売りつけている業界は組織犯罪
集団に匹敵する」と決め付け、タバコに起因する病気の医療費、2兆円以上の支払いを求めました。
各州政府もタバコ税の値上げ、CMの大幅規制など、喫煙率の低下へ向け強い態度をとりつづけて
いるのです。
2000年7月、米フロリダ州裁判所はタバコ被害訴訟で「タバコは有害な欠陥商品」と判断し、タバコ
販売5社に対し、総額15兆円の賠償支払いを命じました。この法廷でタバコ会社の経営トップは
「タバコは中毒物質でガンを引き起こす」と明言し、「有害な商品によって人々に耐えがたい病気を
もたらし、大変申し訳ない」
と謝罪しました。
2001年6月、米国カルフォルニア地裁はタバコ会社、フリップ・モーリス社に対し、個人の訴訟としては
最高額の30億ドル(3,630億円)の賠償の支払いを命じました。肺ガンにかかった56歳の男性は、
麻薬を断つことはできても、タバコだけはどうしても止めることができなかったと話し、タバコ中毒の
恐ろしさを語っています。原告はガンにかかったのは、タバコ会社の宣伝のためと主張し、裁判所は
危険性を周知させなかったタバコ会社の重大な過失を認定しました。
こうした動き対し、タバコの具体的な有害情報を表示しないまま、無知なタバコ消費者をターゲットと
している世界第三位のタバコメーカー、 JTは「外国のことだ」 と述べたと新聞報道されていますが、
日本で売れば、同じタバコもすべて解毒されるとでも言うのでしょうか。JT は、タバコを見限った
米国大手タバコ会社を買収し、更に世界戦略を強化する意気込みを示しています。
戦争で功労のあった軍人に天皇、皇后両陛下から記念品として与えられていた「恩賜のたばこ」が
未だに廃止されていないのを知って驚きました。毎日新聞の記事によれば、2005年6月現在も
なお、ねぎらいの品として、皇室から警備の警察官などに刻印入りのたばこが配布されていますが、
これを2006年度までに全廃するそうです。しかし、宮殿での行事などで供される接遇用のたばこに
ついては、今後も年間2万本以上を確保しておくと報道されています。タバコは発癌物質を含有し、
贈られた人の健康を確実に破壊することが分かっていても、古いしきたりは守るべきものでしょうか。
接遇用とはいえ、国際的にも日本に関し悪しき評価を与えてしまうのではないかとの危惧の念を
抱かざるを得ません。
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