幻のテレビ放送
2010年2月、厚生労働省はテレビを通じ、公共的屋内施設の全面禁煙を呼びかけた。しかし2010年4月に、
分煙制度を公認した神奈川県条例の施行を受け、この通達は線香花火のようにフェードアウトした。
分煙制度推進への道は民主党、野田内閣の始めた喫煙設備への経済的支援制度により確定的となった。
2016年10月の朝日新聞社説で『受動喫煙対策の先進国にならい、屋内全面禁煙の範囲をできる限り広げ、
「屋内の公共の場は禁煙」という、わかりやすいルールの定着をめざしたい。受動喫煙防止でも、49カ国
(人口計約13億)が公共の場の屋内全面禁煙を法律などで罰則付きで定めているのに、日本はWHOから
最低レベルと判定されている。喫煙室設置で例外を認める場所が多すぎる。』と述べている。
しかし、小池知事主導の東京都受動喫煙防止条例に反論する歴史学者の意見には驚いた。それは規制が
緩すぎて完全に受動喫煙防止出来ないと言うのでなく、たばこ会社の分煙コマーシャルに同乗した考え方を
披露している。「活路を狙う焦りの産物」、「違憲リスクも覚悟で独走」、「零細店はつぶれてもよい?」
の3っの項目より書かれているが、その要点は、規模により喫煙行為を認める国の方針との整合性を保つのが
常道だろうとしている。たとえ日本政府の受動喫煙防止法を実施しても、世界最下位の法制度となるのに、
オリンピック開催都市の東京でそれに従えと同じ意味である。
「違憲のリスクを覚悟で独走」と述べているが都民の健康を目的とした規制が何故に憲法違反となるので
あろうか。ドイツの最高裁判所では飲食店などの屋内全面禁煙は違憲とはならないとの裁定を下している。
「零細店はつぶれてもよい?」と、たばこ会社の洗脳工作を受けて禁煙とすれば、営業上の不利益を蒙ると
心配する中小飲食店の心理を逆なでして、知事のリコールをちらつかせている。しかし、スペイン、台湾を
はじめ、諸外国の無数の研究結果、同時に全面禁煙とすれば、売り上げには影響はないと結論付けている。
来日する観光客のために23区レベルで行っている屋外の喫煙禁止条例を凍結することを提言するに至っては
「喫煙行為は正しい」との潜在観念の下に論議を進めているしか考えられない。
2018年9月「一匹狼の国」著者 医学博士 宮本順伯
朝日新聞意識調査 2017
飲食店内完全禁煙(83.7%)
喫煙可、分煙、禁煙別を店舗が選択し店頭表示(9.2%)
空調設備を設ける分煙(5.5%)
投票性別:男性、61.8%、女性、36.6%
引用:朝日新聞意識調査、2017年3月31日ー4月11日 公開実施
朝日新聞受動喫煙問題報道
2017年4月16日 朝日新聞朝刊紙面
朝日新聞は2017年4月2日、9日、16日の3回にわたってさまざまな意見を報道して来ました。アンケート
意識調査では医学関係者、飲食店関係者、そしてさまざまな職業の方たちから、その人の考えを生のまま
掲載して多くの反響を呼びました。フォーラムを編集された人も述べられていることですが、どうのような
視点から問題を見るかにより、受動喫煙対策は全く異なったものとなります。タバコを無害な趣向品と捉えて
「好き」「嫌い」とかマナーの問題として考えていくのか、タバコはがんを始め、様々な病気の誘因として、
健康障害を回避するための方策を考えるのか、その結果は大きく異なるものとなります。
世界保健期間(WHO)の第一人者、ベッチャー氏は『日本の対策は「前世紀並み」と判断し、分煙政策は効果がない』
と明確に答えております。今の厚生労働省原案では問題は解決しないと、北京市の実例、スペインでの分煙制度の
失敗を取り上げ、店内に設けた喫煙室は受動喫煙を防止するものではないし、(壁を隔てた喫煙室を残す)
政府原案では、今の世界最下位から2番目に低い国となるだけだと伝えております。世界で既に完全に廃止されて
いる鉄道車内の喫煙ブースも、無論、乗客の受動喫煙を防止するものではありません。
今、ネパールを含む四つの低所得国でも最高基準の屋内完全禁煙法が実施されました。2020年にオリンピックを
迎える前に、日本は世界基準の受動喫煙防止法を実行に移す必要があります。飲食店内や鉄道車内でタバコを
吸っているのを見かけたとき、海外からの旅行客は「日本はすばらしい国だ」と尊敬の念を抱くでしょうか。
答えは明らかです。いつまでも世界から孤立した「一匹狼の国」のまま留まることをあなたは選択しますか。
2017年4月16日 朝日新聞朝刊紙面
海外の国々が屋内喫煙規制から着手したのに、日本は屋外の喫煙規制から着手しました。本来の受動喫煙防止でなく、
子供の目への危害、手のやけどとか、衣服の焼け穴とか街の美観の観点から路上での喫煙を禁止したのです。また、
JTの巧みな分煙広報に洗脳されてタバコを吸わない人までも分煙制度を称賛し、喫煙者と非喫煙者が共に生活する
日本独自の素晴らしさを主張する人までも出ています。全ての屋内を禁煙とするのは知恵のある人のすることで
はないと語る著名な政治家もおります。「禁煙政策は喫煙者の人権を奪うファシズムであり人種差別」と極言する
エコノミストもおります。しかし、その根底に横たわるものは、タバコは「好きか嫌いか」であり、タバコから
発する有害煙が周りの人の健康を侵害するとの意識は全くなく、自分だけは大丈夫との信仰に近い考えがあるのです。
朝日新聞社の行った受動喫煙に関する意識調査に約1,756票の回答が寄せられた。「屋内完全禁煙」に1,470票
(83.7%)、喫煙可、分煙、禁煙の店頭表示に161票(9.2%)、壁や扉で仕切り空調設備を設ける分煙に97票
(5.5%)との結果が出ており、屋内完全禁煙を望む声が圧倒的多数でした。厚生労働省原案で認められた分煙体制は
ごく一部の人からの支持しか得られていないことも分かります。いくつかの例外規定を設けると法案自体に多くの
抜け道を生み、規制の実効性が失われることは明らかです。分煙制度の失敗を経験したスペイン政府は、2011年
施行の新しい屋内全面禁煙の法律施行の時、「抜け穴を塞いだ」とテレビの前で公言しています。
忘れてならないことは、日本も世界の一員だということです。多くの外国人が日本を訪れます。日本人も外国を
訪れます。今、世界には共通したルールがあってもよいのです。もう日本だけが全く別の喫煙規制をする時代では
ありません。世界に共通している「世界標準」のタバコ規制を採用することが、タバコ天国、「軽蔑される国」
でなく、空気のきれいな清潔な「尊敬される国」となる道を歩むことになります。
「一匹狼の国」著者 医学博士 宮本順伯
意見広告を兼ねた「一匹狼の国」完売 の中吊りポスター
2015年10月に首都圏のJR車内中吊り広告ですが、69頁の風刺画がその一部に組み込まれました
2017年9月、日本タバコフリー学会で使用されたスライド(宮本順伯)
↑ WHO:「日本のたばこ対策は、世界でも最低レベルだと思います』
『日本にとってオリンピックが開かれる2020年までの4年間に、たばこ規制を制度化することはとても重要な目標です
[左]2015年9月の日本タバコフリー学会(松山)特別講演にて使用したスライド(宮本順伯)
「一匹狼の国」風刺画より引用:コピー禁止:画像は著作権により保護されています
[右]和歌山県熊野大社前の商店街にて:目指せ分煙先進国
タバコを吸うために屋内喫煙室を利用することは、自分の吸い込むタバコからの有害物質と、周りの喫煙者の
吐き出す有害副流煙とを同時に自分の体内に取り込み蓄積することです
JR東海、JR西日本、および近鉄特急は、世界の完全禁煙との動向を完全に無視した、副流煙によるがんなどの病気、
2020年以降は「密閉、密集、密接」の場で、コロナウィルス感染症に罹患することを誘発しかねない列車を
運行する鉄道会社と言えます。
← WHO、屋内施設全面禁煙を推奨
←Smoke-free Hawaii
列車内喫煙を許している国は日本のみ (世界の鉄道車内は完全禁煙)
原則屋内全面禁煙とするが「国際標準」を下回る小池知事主導東京都条例
東京都受動喫煙防止条例: 「国際標準」にどう近づけるか、その方策を2017年に提言 宮本順伯
国際基準に基ずいた受動喫煙防止
「一匹狼の国」著者 医学博士 宮本順伯
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The article was written in December 2015, and last revised in March 2023,
by Junhaku Miyamoto, M.D., PhD.
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宣言 2018年11月22日 宮本順伯
自己の健康を守るため、飲食店は必ず全席禁煙の店を利用、
どのような状況でも時間分煙、完全分煙の店は利用しません。
ホテル、旅館は原則全室禁煙のところに宿泊します。
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