・・2017年11月のことだ。京都駅新幹線ホームで列車が近づくと、耳に響く大きな声で「喫煙ルームは、
普通車は3号車、7号車、15号車、グリーン車は10号車です」とアナウンスしていた。日本の古都を
代表する駅のホームで、こうした案内を聞いて外国からの旅行客はどう思うであろうか!? 喫煙行為を
保護、PRする喫煙優遇のJR東海は、すばらしい寺院、史跡などから得たせっかくの好印象を完全に打ち
消してしまうだろう。
世界の鉄道車内の喫煙行為は100%禁止されている。
こうしたアナウンスが英語と日本語で繰り返されるたびに、本当に恥ずかしい思いを強いられる
The smoking room in the train infringes the health of the passengers.(英文)
東京駅で出発を待つJR 新幹線列車
16両編成車両のうち、6車両に喫煙室を設置
新幹線列車N700の喫煙室
列車内喫煙室へは左右に開くドアから入る。喫煙室内の有害な副流煙はドアの開閉のその都度、
非喫煙空間に流れ込み、近くの人に対し、三次喫煙の危険性とともに、健康障害をもたらす。
時には車両全体に、濃度は低くなったも、タバコ副流煙が充満することがある
コメント
世界では今や公共交通機関での全面禁煙は疑うことのない常識となっている。しかし、 欧米諸国で次々に喫煙
車両を廃止して行く中、新たにJR九州とJR西日本とが共同運行する九州新幹線新型車両に、悪評高い喫煙室を
新設するとのことだ。開通して以来、全面禁煙としてきた九州新幹線に喫煙ルームを新設提供することは、世界が
行っている健康への道筋を完全に否定するものだ。車両の製造はJR西日本が行うとのことだが、JR東海、JR
西日本、JR九州幹部の考えは、「井の中の蛙」で「喫煙規制鎖国」の政治集団、自民党幹部となんら変わりがない。
多くの人の利用する閉鎖された空間を全面禁煙にすることは、乗客の健康を守ると同時に、喫煙者が同室の他の
喫煙者の放散するタバコ副流煙に含まれる有害物質を吸入する危険性から守る。また喫煙する場所を制限する
ことにより喫煙者自身に禁煙を促し、それは、とりもなおさず、喫煙者の寿命を延ばし、健康向上に役立つことで
あると理解出来ていない。JR西日本とJR東海の責任者には受動喫煙を防止しようとする気持ちがない。
2010年5月に日本で発売された「無煙たばこ」に関しては煙が出ないから無害であるとの解釈を行い禁煙車両内でも
喫煙できるとしている。それがタバコを原料とした製品であり、喫煙している人の吐く息の中には発癌物質を始め
沢山の有害物質が含まれていることを無視している。
JR東海、JR西日本は、先進国の健康社会を築き上げようとするトレンドに正面から挑戦しようとしている。
それを具体化したものが新型新幹線、N700の喫煙ブースである。今後、禁煙車両内で「無煙たばこを吸う行為」
に対しも乗客から多くの苦情が寄せられるであろう。さらに驚くべきことにJR東海はN700系以外の新幹線列車に
喫煙車両を連結している。無謀ともいえる、喫煙行為は無害との前提に立った列車編成を行っている国は、筆者の
知る限り存在しない。また、車内喫煙を規制せず、認めている日本政府は世界の笑い物となっている。
JR幹部は自らの判断ミスには全く疑問を抱いていない。その馬鹿さ加減を広く公表していることと同じだ。
もの作りは世界で一流だが、JR東海グループなどには健康的な未来社会がどうあるべきかを予測し、物事を
適正に判断する思考力の致命的な欠陥がある。
プラットホームのAED (automated external defibrillator) は喫煙室の隣に設置されている
喫煙室内で副流煙のため倒れたときの救急用
2012年6月撮影
(L) 名古屋駅におけるホーム上の喫煙者たち (R) 名古屋駅に到着した新幹線列車
2012年6月撮影
700系新幹線 |
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700-series Shinkansen
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(L) 東京駅で列車到着を待つ車内清掃員
(R) 左側の線路はJR東日本、右側の線路はJR東海(東京駅で2008年に撮影)
JR東海側は最近改装されている
喫煙車両を運行して「スーパーサービス」と考えている近畿日本鉄道、JR東海、JR西日本
日本ではどうか。JR西日本、JR東海では運行時間が2時間を越えた路線では喫煙車両を温存、または
喫煙室を設置している。JR全社は夜行寝台に喫煙車両を連結している。関東地区の私鉄特急電車から
喫煙車両が撤去される中、関西地区の私鉄大手の近畿日本鉄道は喫煙ブースおよび喫煙車両の整備に
力を注いでいる。鉄道の全面禁煙化に正に逆行する動きである。
「アーバンライナー」に喫煙ブース、「伊勢志摩ライナー」に喫煙車両、1輌、その他の特急に1輌から
2輌の喫煙車両を連結して運行している。こうした喫煙中毒患者の為の非生産的なスペースを列車内に
設けてサービスと考えている。車掌などの乗務員に発癌物質を吸わせてそれが仕事だと平然としている。
海外の情勢にも目をつぶった鉄道会社の姿勢が問われる。こうした設備はあらゆる観点から見て有害
無益であり、ムダな投資である。しかし有効活用する手段がないわけでもない。今、世界では喫煙車両を
全く見ることが出来なくなっているため、車体中央部に「どくろ」と「タバコ」のロゴを入れて
走らせれば、伊勢志摩、京都、奈良を訪れる外国人観光客のまたとない被写体となるからだ。
Smoking kills: The ideal train marking for the smoking vehicle of Kinki Nippon Railway
This map shows the railway track route of this private railway.
列車内の喫煙室を上質の旅客サービスと考える(時代錯誤の)JR 東海、JR 西日本
Three major Japanese railway companies think that the smoking car and/or
smoking booth
in a train are the superb service for train passengers.
2017年、JR西日本とJR東日本の豪華寝台列車に(乗客の健康無視の)喫煙車両を新規製造
A new deluxe sleeper-train provides smoking vehicle.
堂々と喫煙車両を運行する健康無視の近畿日本鉄道
The railway company leading a passenger to health damage
The smoking room in the train adversely affects the health of the passengers.(英文)
喫煙室を排除した人気の完全禁煙「レールスター」を廃止
列車内喫煙を許している文明国は一国、日本のみ (世界の鉄道車内は完全禁煙)
RAILWAYS 海外鉄道の喫煙規制情報 (抜粋)
France フランス 2004年 TGVを全車禁煙
Italy 2004年12月 イタリア 法令により鉄道車内を全車禁煙
Korea 韓国 2003年に鉄道、バスを全車禁煙
台湾 2009年に鉄道、バスを全車禁煙
中国 2014年 高速鉄道を全車禁煙
Russia ロシア 2014年 長距離列車を含むすべての列車内での喫煙禁止
豪華寝台列車、オリエント急行は全車禁煙(英国およびEU圏内では全車禁煙)
中国・高速鉄道が強権発動:喫煙禁止違反者に「永久乗車禁止」
高速車内は全面禁煙なのに、喫煙する乗客が後を絶たない中国の高速鉄道で、業を煮やした当局側が、違反者の
「永久乗車禁止」を含めた厳しい規定を設けることになった。中国メディアが報じた。違反を見つければ罰金を
科して“誓約書”にサインさせ、同じ人物がもう一度違反した場合に「永久追放」にすることも可能になる仕組み。
乗客の安全確保のほか、批判されることが多い中国人のひどいマナーを改善しようという当局側の措置だ。
トイレなどに隠れて喫煙したり、車内で堂々と吸ったりするなどの光景がよく見られ、火災報知機が作動して
電車の運行が遅れるトラブルが発生することもあるという。新しい規定は、車内で喫煙しているのを見つけた場合、
違反者に500〜2,000元(約7500〜30,000円)の罰金を科す。「車内で喫煙すると火災の危険があり、電車の
安全な運行に影響を与える」と強調して違反者を厳しく批判。車内で火災が発生すれば大惨事になるとも指摘し、
当局側の対応を評価している。
引用:SankeiBiz September 11, 2016
全席禁煙高速列車(車内喫煙を禁止した世界標準)
成田空港ー東京都市圏間鉄道
全席禁煙のJR東日本新幹線列車、はやぶさ
2011年3月運行開始、最高時速 320km/H
秋田新幹線、スパーこまち 2013年3月運行開始
2017年9月、日本タバコフリー学会で使用されたスライド(宮本順伯作成)
全席禁煙の東京ー金沢間の新幹線列車
All non-smoking Tokyo-Kanazawa bullet train
JR北陸新幹線高速列車
All Hokuriku shinkansen trains are smoke-free..(英文)
JR 東日本 JR-East
Railway Travel around the World 世界鉄道旅行
All railway trains should be completely smoke -free.
鉄道全面禁煙化は世界の常識
Smoking ban in the railway trains of the world
オリンピックの歴史と開催国に於ける鉄道車両内での喫煙可否
1948 |
XIV |
ロンドン(イギリス) 列車内喫煙禁止 |
1952 |
XV |
ヘルシンキ(フィンランド) 列車内喫煙禁止 |
1956 |
XVI |
メルボルン(オーストラリア) 列車内喫煙禁止
ストックホルム(スウェーデン) 列車内喫煙禁止 |
1960 |
XVII |
ローマ(イタリア) 列車内喫煙禁止 |
1964 |
XVIII |
東京(日本) 列車内喫煙OK |
1968 |
XIX |
メキシコシティ(メキシコ) 列車内喫煙禁止 |
1972 |
XX |
ミュンヘン(西ドイツ) 列車内喫煙禁止 |
1976 |
XXI |
モントリオール(カナダ) 列車内喫煙禁止 |
1980 |
XXII |
モスクワ(ソビエト連邦) 列車内喫煙禁止 |
1984 |
XXIII |
ロサンゼルス(アメリカ) 列車内喫煙禁止 |
1988 |
XXIV |
ソウル(韓国) 列車内喫煙禁止 |
1992 |
XXV |
バルセロナ(スペイン) 列車内喫煙禁止 |
1994 |
リレハンメル(ノルウェー) 列車内喫煙禁止 |
1996 |
XXVI |
アトランタ(アメリカ) 列車内喫煙禁止 |
1998 |
長野(日本) ★JR-東日本は列車内喫煙禁止 |
2000 |
XXVII |
シドニー(オーストラリア) 列車内喫煙禁止 |
2002 |
ソルトレイクシティ(米国) 列車内喫煙禁止 |
2004 |
XXVIII |
アテネ(ギリシャ) 列車内喫煙禁止 |
2006 |
トリノ(イタリア) 列車内喫煙禁止 |
2008 |
XXIX |
北京(中国) 列車内喫煙禁止 |
2010 |
バンクーバー(カナダ) 列車内喫煙禁止 |
2012 |
XXX |
ロンドン(イギリス) 列車内喫煙禁止 |
2014 |
ソチ(ロシア) 列車内喫煙禁止 |
2016 |
XXXI |
リオデジャネイロ(ブラジル) 列車内喫煙禁止 |
2018 |
平昌(韓国) 列車内喫煙禁止 |
2020 |
XXXII |
東京(日本) 列車内喫煙OK |
2022 |
北京(中国) 列車内喫煙禁止 |
2024 |
XXXIII パリ(フランス) 列車内喫煙禁止 |
2028 |
XXXIX |
ロサンゼルス(米国) 列車内喫煙禁止 |
★2014年7月以降の状況を表している。「列車内喫煙禁止とは喫煙室を排除した完全禁煙を指す」
中国政府は高速列車内での喫煙を禁止しており、違反者には最高2,000人民元(約32,500円)の罰金が科せられる。
英国では50-200ポンド(約28,000円)の罰金が科せられる。
★長野駅を通過する北陸新幹線は完全禁煙となっている
解説 第二次大戦後のオリンピック開催都市は上記のごとくである。最近3年間の鉄道列車内での
喫煙行為の可否を列挙している。日本では喫煙規制に関する国法がなく、オリンピック開催を控え、
「世界最低の喫煙規制国」との汚名を返上すべく、厚生労働省は規制内容の「たたき台」を公表して
いる。しかし、上記に記載したように、今回の見直しでも、世界基準とは全く異なり、日本政府は
密閉された列車内での喫煙行為を認め、喫煙室の設置を許しており、2020年以降も「機密性の高い
列車内での喫煙行為」を禁止することなく、サポートする「世界で唯一の国」となっている。幸い、
JR東日本、JR北海道、JR四国では夜行列車を除き列車内喫煙を禁止しているが、米国、カナダでは
3泊4日の寝台列車でも車内での喫煙行為を排除し、喫煙室を設けていない。
JR東海、JR西日本、近畿日本鉄道では堂々と、喫煙車両、または喫煙室を併設した列車を運行させ、
将来も廃止する意向を示していない。今までのオリンピック開催国では考えられなかった事態であり、
諸外国では日本の開催国としての適性に大きな疑いを抱くことになる。また、世界各国が列車内の
ような閉鎖空間内での喫煙行為を厳しく取り締まっているなか、日本は閉鎖空間内の喫煙行為を
保護しており、国内の乗客を含め、最近増加してきている海外からの旅行者の顰蹙(ひんしゅく)を
買うことは必至である。早急に世界基準に合致した規制、列車内での喫煙室設置を禁止する立法措置が
求められている。
「一匹狼の国」著者 医学博士 宮本順伯
今までタバコに寛容だったロシアが、ソチオリンピックを契機に屋内での喫煙行為を完全禁止した。
「釣り針を断ち切ろう!」と、
ロシア保健省は大きな公共広告を街中に掲示し、喫煙者がタバコ会社の糸に操られ、やがては死に
至る様を警告している。ほとんどの国ではホテルの喫煙客室の設定をホテル側の裁量に任しているが、
ここロシアでは2014年6月から喫煙客室の全面廃止とホテル屋内での喫煙行為を禁止している。
レストランおよびバーも例外ではない。屋内施設では全面禁煙となっており、飲食店側もそれを
当然のこととして受け止めている。喫煙を許していた、9,289キロを6泊7日かけて走る走る長距離
列車内でも、いまや喫煙行為は全く不可。「一匹狼の国」35頁記載
日本の新幹線、JR東海、JR西日本、近畿日本鉄道、JRの夜行列車には喫煙車両を連結(または
喫煙ブース)を設置しているが、このような非健康的な野蛮行為を認めている国は皆無である。
国民の健康を守ることが第一か、世界で実施されている鉄道車内規制を無視して、タバコ税収を
優先させて喫煙者の主張を守り抜いていくか、政府当局の判断能力が試されている。
Indoor smoking ban in each country
★'一匹狼の国' 口絵より引用--著者自身が自己の現地検証と複数の信頼できる資料をもとに作成
ワインレド色:屋内全面禁煙を強いる国法がなく、制定に向け具体的な動きがない国で、日本と中国などが該当する
日本と違うことは、中国では全高速列車車内は完全禁煙、首都北京および大都市、上海では全ての飲食店など公共的空間は全面禁煙となっている
Copyright (C)2015 Junhaku Miyamoto All rights reserved.
「一匹狼の国」口絵より転載:画像は著作権法によって保護されています(複写転載禁止)
日本の対策『前世紀並み』「分煙は効果なし」 WHO
・・朝日新聞報道 2017
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受動喫煙防止法令原案に関するNHKの放送紹介とコメント
WHO 「日本のたばこ対策は世界でも最低レベル」だと思います』
『日本にとってオリンピックが開かれる2020年までの4年間に、たばこ規制を
制度化することはとても重要な目標です
2017年9月、日本タバコフリー学会で使用されたスライド(宮本順伯)
飲食店が全面禁煙でない経済大国は日本と中国くらい
(ただし、北京市、上海市ではバーを含め飲食店内全面禁煙)
政府の政策により飲食店が全面禁煙となっている国を表示
喫煙室はガス部屋
「屋内全面禁煙の法制化を」受動喫煙防止でWHOが各国政府に勧告
All high-speed trains in China are smoke-free.
Railway Travel around the World 世界鉄道旅行
All railway trains should be completely smoke -free.
鉄道全面禁煙化は世界の常識
Smoking ban in the railway trains of the world