米国鉄道乗車記 1961



1961年12月、シカゴの勤務病院にて特別に休暇をもらいシカゴからニューヨークまで鉄道旅行をして
来ました。無論、当地病院視察の目的もあったのですが、それまで米国の長距離鉄道に乗ったことが
なかったし、夜行特急列車に乗り込みました。米国では鉄道がすでに斜陽産業化しており、線路の撤去、
乗客扱いを止めて貨物専用とするなど、かなり寂れてきています。ニューヨーク・シカゴ間を結んでいる
ニューヨーク・セントラル鉄道には特急が一本、同区間のペンシルバニア鉄道でも急行が2本という
ところでしょうか。私はこの[20世紀特急号]でニューヨークに向かいました。全個室の寝台列車を
セールス・ポイントとしていましたが、1958年に廃止し、1961年時点で、一番安いコーチクラスでも
航空機とほぼ同じ料金でした。座席は安楽椅子で自由に角度を調整できるし、窓ガラスは特大の二重
ガラスで、その眺めは抜群です。ただ、固定されていて開閉することは出来ません。空気調節は自動で
行っています。所どころ軌道床の傷みから揺れの激しい場所がありましたが、ほとんどの地点では、
滑らかに走行して行きました。


The streamlined 20th Century Limited departing Chicago on a trial run in June 1938
 


車体は大きく、日本の車両の2倍くらいあるのでしょうか、客車の前後には、紳士、淑女別に広い社交室と
洗面所があり、車体後部には黒人のボーイが座り、すぐ乗客の求めに応じてくれます。[20世紀特急号]は
夜行列車ですが、枕を有料で配りに参ります。35セントですが、それなりの価値はあるでしょう。照明は
各座席上に付いておりますが、夜中は蛍の光程度にまでダウンして安眠を助けます。シンシナティあたり
から雪が降り出しましたが、こんこんと降りしきる雪を眺めながら夜、時速100キロ以上で走る様は特別な
味があります。アルバニーを過ぎたころから明るくなり、ハドソン川に沿って一途南下、シカゴ発、16時
30分 ニューヨーク着 09時30分の旅でした。なお、[20世紀特急]は、経営不振のため1902年に登場し
た65年後 (乗車6年後) の1967年に廃止されております。 

帰路はペンシルバニア鉄道を利用しました。食事は[20世紀特急号]と異なり、食堂車でなく、サンドイッチ
やコヒーの車内販売、味はあまり美味しいとは言えないものでした。シカゴには 15時25分に着き、往復、
32000キロ程の旅を終えました。既に、ペンシルバニア鉄道も廃止されていますが、その後、全米をカバー
する Amtraknに引き継がれて同区間を運行しています。

Iceberg in Lake Michigan


今、シカゴの気温は零下20℃近くまで下がり、ミシガン湖を伝わってくる北から吹き下ろす風が肌を刺し、
5分も歩くと感覚がおかしくなります。北極探検の時のような服装の人を多く見かけますが、なるほどと
思われます。シカゴは風が強いので有名ですが、湖畔に建つアパートの窓ガラスをぴゅうぴゆうと音を
たてて通り過ぎます。しかし、室中はスチーム暖房でとても暖かく美しい音楽が流れています。

宮本順伯 1961年12月 20歳代後半記
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Daily 1960-1963
Washington Hospital Center US Interstate Highway 1960-  Cherry blossom festivals Indianapolis Weekend travels
East Coast trip New York express train  New York auto-trip Mackinac Bridge Chicago life Chicago friends
Florida travel 1962 35,000km great trips throughout US and Canada Summer camp Denali National Park


Daily 1972-1974
London University Hospital  Moosonee London life and Florida trip 1974 Return trip to Tokyo

Daily

2023:
90 年の人生を振り返った時、懐かしく思い出されるのは、若かりし頃の思い出である。
一見、常識を越えた発想があり、それを 実行するだけの活力があった。特に20歳代は、
見るものすべての感受性が豊かで積極的、高年の世代でのそれとは、とても比較できない。
国内で医師として毎日を、診療に明け暮れする生活を繰り返し、老後に引退するだけの
人生が、満足できるものかを問われた時、答えは見つからない。人生は一度だけのもの。
悔いのない一生でありたい。





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